幽霊 北杜夫




昔、書き写しをしたほど、好きだった本。
文体、描写、感じの使い方 (「谿間」とか)が好きで好きでしょうがなかった。

今、多分30年ぐらいたって読み返して、やはり好きだなぁと思う。

ストーリーは、幼年期の記憶を取り戻すというもので、起伏のあるものでは無いのだけれど、最初に明かした記憶を取り戻していく過程が、美しくて切なくて貴重で、憧れる。

長野の自然との交流も美しく、ゆったりと流れていく時間も、愛おしい。こんな流れの中で生きていきたい。何を今、あくせくしなければいけないのか。

作者20代の頃の作品で、年齢が進んでから書いた続編の「木精」も読んだけど、それほど感激はしなかった記憶がある。でも読んでみようかな。

やっぱり
★★★★★