「伯爵夫人」 蓮實重彦 作
文庫になったので買ってみました。
帯に元東大総長 とあおる文字が。
中身は隠微な官能小説です。官能と言う単語よりもスケベという単語が適当と思えるような、お下劣な小説。作者は80歳。
文章、単語がすごいですね。開戦時の12月8日前の数日が舞台ということもあるのですが、古い単語+擬音語が
「ばふりばふり」「ぷへー」とか
何のために書いたのか、とか、
何を言いたいのか、ということはあまり考えずに楽しんで読めばいいのではないかと思う。
エンタテイメントとして読めばとても面白い。
三島由紀夫賞受賞時のインタビューで、
受賞してはた迷惑で嬉しくない と言ったり
小説が向こうからやってきた (小説は)知的な操作によるもの
と言ったりしているのだけれど、その結果として生まれたエンタテイメントと言えるのかな。
開戦前夜であるのだけれど、なんか人物 皆が生き生きとしているので、この時代に生きてみたかったかな とも思わせる作品。
★★★半