死の島 小池真理子




小池真理子の小説はあまり読んだことが無い。ひょっとすると初めてかもしれない。これもまたどこぞかの書評で紹介されていたから買った本。
余り女性の文体という感じがしない文章で主人公も男性。

主人公は69歳でその死生観が語られる。
小池真理子氏も65歳ということで、その死生観をどれほどリアルに受け取ることができるか。
また登場する樹里という女性のとの心のみの交流をどれほどリアルに受け取ることができるか。
そしてその女性を性的なものとは関係なく、大切にいとおしく貴重に思う主人公の気持ちにどれほど共感できるか。

その辺がこの本を評価できるかどうかの分け目になると思う。だからオビにも「いつかあなたは、この小説の本当の意味を知る」と書いてあるのだろう。

そして、小生には、とても良かった。
体や心の描写も含め、とてもリアルに感じることができたし、女性を思う気持ちの描写にもとても共感できた。
その女性を最後まで大事にする主人公の、ある意味強さ・潔さにも打たれる。

ベックリーンの「死の島」という絵画を大きな絵で見てみたいと思った。

読者を選ぶ本だが嵌れば大きな感動がある。

★★★★半