変わっていく、家族〜その75〜 | ぽんこたつ欲しいみかんの毎日気分は凸凹~生きてるからこそ~

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母の介護、父の死をきっかけに2016年にうつ病になったことから、転職を繰り返し、仕事社会から離れて今は生活保護で暮らしています。家族のこと、日常の出来事、病気やメンタル、伝えたいことや空想、情報など思うまま綴るまとまりのないブログです。

今日を、迎えられたことに、感謝。



過去のことを振り返るブログを書いています。



ご興味のある方は読んでみてください。






(続き)

この日まで、連絡した親戚や、父の友人がお見舞いに来てくれました。

ほとんどの人が、ガンになってから会っていなかった。

だから、ショックが大きくて言葉を詰まらせ、泣く人を何人も見ました。


相方は。

5月以来、約2ヶ月ぶりに父に会いに…。


どうしても、お見舞いに来ることを強制はできなかった……



第2の父。


本当の息子のように思っていると、相方本人に話していた父。


相方にとって、父に会うことはとても勇気と覚悟の必要なことでした。



彼の父親は、何年も前に……末期の食道ガンで亡くなりました…


ガンでどんどん衰弱していく父親の姿を、何度も、ずっと見てきた相方。


今の父に会うことは、本当の父親の死とリンクされ、悲しみがよみがえってくる…。


第2の父親とは、もっとずっと、色々話したりできると思っていたのに……


そんな相方の気持ちを知っていたから……強制できなかった、どうしても…


仕事を調整してもらい、休みをもらったから…とメールがあり、複雑な思いで相方を待っていた自分…


姿を見た途端、足が勝手に彼の方へ動きました…


「よく…来てくれたね。ありがとう……」



無言で首を振りながら、自分の肩に手を置いて…。


父を。真っ直ぐに父を。


親戚の人たちは、相方と初対面。

誰?という表情で相方を見てる…


そんな皆の視線に、軽く会釈をして。


「……お父さん…… 僕です。
会いに来るのが遅くなって……すみません……」


父に、そう話し掛けました…

蒼白な表情で…

少し、ほんの少し、裏返った声で……



(続き)


相方が、父に話し掛けました。

自分は、隣で見守って…。


「…お父さん…僕です。わかりますか?」


父の虚ろな目が……


少し、大きく開いて…


相方を、真っ直ぐに、相方を捉えました。


「…ああ……」

小さく、言葉になっていないけれど、しっかりと声を発した父。


父が手を…相方に差し出して…

相方も、その手を握って……


父が、凝視するように、相方を真っ直ぐ、見つめ、頭を少し動かしながら、手を握りしめました。


こんなこと、母や自分にもなかった。


「お父さん…」

相方は、やっとそれだけ言い、父の手を握り続けていました。


静かな時間…。

みんな、呼吸を忘れてしまったかと思うくらいの、静かな時間…。


父は、どこにそんな力があったのかと思うくらい、強く、強く、相方の手を握り続けていました。


無言の会話…。


ひたすら見つめ合う、父と相方。


みんなが、ただ静かに、見守りました。


15分位、無言の会話は続きました。



やがて。

どちらともなく、手をゆっくりと離し…

父は、笑っているように見えました。


母と母の姉以外、長い間立ちっぱなしで少し疲れがみえたので、休憩スペースで休みをとることに。


父を残して…。


休憩スペースでそれぞれ座り、飲み物とともに休みました。

「お父さん、すごい力があった……」

相方は、自身の手を見つめながら、ぽつり言いました。

「何話していたの?」

「…ナイショ」


そうか。

男同士、色々話したんだね…

父ちゃんの言いたかったことはだいたい想像つくけど。

あんなに長く……

その光景は脳裏に焼き付いて離れず、父が伝えたかったことを、本当は知りたかったけど…



休みながら、久々に会った母と母の姉。
自分といとこ。

近況報告を交えつつ、父の話をしました。


再度、父のいる病室へ…

もう誰も、話しかけず、静かに父を見守っていました。


また来るから。

そう言って、親戚は先に帰りました。


入れ違いで妹家族が顔をだし、あった出来事を
報告し…


夕方、相方は自宅へ、母と自分は一緒に帰りました。


自分は、派遣会社と上司に様子を報告しました。


そうだ…

明日は、月曜日…。


(続く)