今日を、迎えられたことに、感謝。
過去のことを振り返るブログを書いています。
ご興味のある方は読んでみてください。
(続き)
あと、こんな風に、家族で過ごせるのはどれくらいなんだろう…。
考えたくなくても、頭をよぎってしまう。
きっと母は、かげがえのない時間を、大切にしたいに違いない…。
車椅子に座りながら1日を過ごすのも、母には大変かも知れない。
精神的体力的に負担も大きいはず。
母のことを気にかける反面、仕事のこともさすがに気になりました。
派遣会社からは、来週は仕事に出てもらえないかと言われたからです。
当然のことだとわかっていても、即答はできず、土日の様子を見て連絡するとしか言えませんでした。
うちは普通ではない。
父が命の危険におかされ、母は要介護の身体…。
家族にとっては、ものすごい負担だし、辛い事実。
家族のことを優先すればする程、自分自身の生活が不安定になり、負担も大きくなる…
そんな状況は、はじめて聞きました、と派遣会社の人に言われました。
なかなかある状況ではないのはわかってもらえているけれど、仕事に穴を開けているのも事実。
1度決心したものの、やはり葛藤する自分がいました。
翌日の土曜日。
仕事は休みなので、母を連れて行くつもりでした。
ところが。
「今日は疲れたから家にいる。」
母はそう言いました。
やっぱり疲れていたんだな…
本当は行きたいのだろうに。
「じゃあ、今日は1人で行ってくるよ。」
母は頷きました。
1人で病院へ。
父は、寒いと言いました。
真夏。強い日射し。
その言葉は、思った以上にショックでした。
暑さも感じられない…
エアコンは切って、自分は扇子で扇ぎながら、父の横に座りました。
「母ちゃんは疲れたって言ってたから、1人で来た」
「うん…。毎日、わりぃな… 仕事行けないんだろ…」
父は、小さく言いました。
そんなこと、気にしないで…
何だか久しぶりに父と2人きりになったな…
「あのな…」
父は、突然話しはじめました。
ゆっくりと、小さな声で、辛そうに…
(続き)
父は、辛そうに、少し顔を横に向けて自分を見つめました。
顔が、とても小さくなってしまった……
声を出すのも辛いはず。
「おまえ、今後実家に帰って母さんと暮らすとか考えてないよな?」
それは、何度も何度も、頭が割れそうな位、考えてきた…
だけど……
「そんなこと、ダメだぞ」
「父ちゃん… やっぱり、そうなると、相方と別れることになる可能性高いから…それはできないな…」
とても、あの家では暮らせない。
「いいんだ。これ以上俺たちの犠牲にならないでくれ…」
…
「これまで通り、週いちは帰るから。本当は、もっと顔を見に行かなきゃ心配だけど…」
「それで十分だよ。母さんも、おまえの生活を壊していることを申し訳なく思ってる」
消え入りそうな位、小さな父の声を、必死に、必死に聞き取りました。
言いたいことが、伝えたいことが、お互いにありすぎて…。
それから数時間、タオルで身体をふいたり、水を飲ませたりしながら、色んな話をしました。
午後。
妹が、やって来ました。
母が居ないことに驚きながらも、父に話しかけ…
会話が、続かない…
コミュニケーションをあまりとっていなかった父と妹。
孫を通して接していることが多かった…。
「後で、ダンナと子供も来るから…」
もう、父は衣類の洗濯を妹に頼むことはしない。
それがわかっているから、余計に辛い…
妹に、身体を拭いてほしいと頼んだ父。
父なりの、妹への気遣い。
妹に、父の思いは届いているのだろうか…
側で見守る自分には、確信を持つことができませんでした。
少しして、妹のダンナさんと子供がやってきました。
甥っ子はまだ小さい。
父のことを、今の状況を理解することはまず無理…
じいじと呼びながら、ベッドの上に乗ろうとする甥っ子を、可哀想だけど、止めることしかできませんでした。
真実を知るにはまだ早すぎるのではないか…
妹も、ダンナさんも随分悩んで病院に連れてきたと話しました。
大人にだってキツイのに。
大好きなじいじが……
無邪気に父に話しかける甥っ子を見て、やはりそれは辛い現実なのだと、あらためて思い知らされました…
もう、じいじは起き上がることも、抱っこすることも、遊ぶこともできないんだよ……
(続く)