変わっていく、家族〜その72〜 | ぽんこたつ欲しいみかんの毎日気分は凸凹~生きてるからこそ~

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母の介護、父の死をきっかけに2016年にうつ病になったことから、転職を繰り返し、仕事社会から離れて今は生活保護で暮らしています。家族のこと、日常の出来事、病気やメンタル、伝えたいことや空想、情報など思うまま綴るまとまりのないブログです。

今日を、迎えられたことに、感謝。



過去のことを振り返るブログを書いています。



ご興味のある方は読んでみてください。






(続き)


あと、こんな風に、家族で過ごせるのはどれくらいなんだろう…。

考えたくなくても、頭をよぎってしまう。


きっと母は、かげがえのない時間を、大切にしたいに違いない…。

車椅子に座りながら1日を過ごすのも、母には大変かも知れない。

精神的体力的に負担も大きいはず。



母のことを気にかける反面、仕事のこともさすがに気になりました。

派遣会社からは、来週は仕事に出てもらえないかと言われたからです。

当然のことだとわかっていても、即答はできず、土日の様子を見て連絡するとしか言えませんでした。

うちは普通ではない。


父が命の危険におかされ、母は要介護の身体…。

家族にとっては、ものすごい負担だし、辛い事実。

家族のことを優先すればする程、自分自身の生活が不安定になり、負担も大きくなる…


そんな状況は、はじめて聞きました、と派遣会社の人に言われました。

なかなかある状況ではないのはわかってもらえているけれど、仕事に穴を開けているのも事実。


1度決心したものの、やはり葛藤する自分がいました。



翌日の土曜日。

仕事は休みなので、母を連れて行くつもりでした。


ところが。


「今日は疲れたから家にいる。」



母はそう言いました。


やっぱり疲れていたんだな…

本当は行きたいのだろうに。


「じゃあ、今日は1人で行ってくるよ。」

母は頷きました。


1人で病院へ。

父は、寒いと言いました。

真夏。強い日射し。


その言葉は、思った以上にショックでした。

暑さも感じられない…


エアコンは切って、自分は扇子で扇ぎながら、父の横に座りました。

「母ちゃんは疲れたって言ってたから、1人で来た」

「うん…。毎日、わりぃな… 仕事行けないんだろ…」


父は、小さく言いました。


そんなこと、気にしないで…


何だか久しぶりに父と2人きりになったな…



「あのな…」


父は、突然話しはじめました。


ゆっくりと、小さな声で、辛そうに…





(続き)


父は、辛そうに、少し顔を横に向けて自分を見つめました。

顔が、とても小さくなってしまった……

声を出すのも辛いはず。


「おまえ、今後実家に帰って母さんと暮らすとか考えてないよな?」

それは、何度も何度も、頭が割れそうな位、考えてきた…

だけど……

「そんなこと、ダメだぞ」

「父ちゃん… やっぱり、そうなると、相方と別れることになる可能性高いから…それはできないな…」


とても、あの家では暮らせない。


「いいんだ。これ以上俺たちの犠牲にならないでくれ…」





「これまで通り、週いちは帰るから。本当は、もっと顔を見に行かなきゃ心配だけど…」

「それで十分だよ。母さんも、おまえの生活を壊していることを申し訳なく思ってる」


消え入りそうな位、小さな父の声を、必死に、必死に聞き取りました。


言いたいことが、伝えたいことが、お互いにありすぎて…。


それから数時間、タオルで身体をふいたり、水を飲ませたりしながら、色んな話をしました。


午後。

妹が、やって来ました。

母が居ないことに驚きながらも、父に話しかけ…

会話が、続かない…


コミュニケーションをあまりとっていなかった父と妹。

孫を通して接していることが多かった…。

「後で、ダンナと子供も来るから…」

もう、父は衣類の洗濯を妹に頼むことはしない。

それがわかっているから、余計に辛い…


妹に、身体を拭いてほしいと頼んだ父。

父なりの、妹への気遣い。


妹に、父の思いは届いているのだろうか…

側で見守る自分には、確信を持つことができませんでした。


少しして、妹のダンナさんと子供がやってきました。

甥っ子はまだ小さい。


父のことを、今の状況を理解することはまず無理…


じいじと呼びながら、ベッドの上に乗ろうとする甥っ子を、可哀想だけど、止めることしかできませんでした。


真実を知るにはまだ早すぎるのではないか…

妹も、ダンナさんも随分悩んで病院に連れてきたと話しました。


大人にだってキツイのに。

大好きなじいじが……


無邪気に父に話しかける甥っ子を見て、やはりそれは辛い現実なのだと、あらためて思い知らされました…


もう、じいじは起き上がることも、抱っこすることも、遊ぶこともできないんだよ……


(続く)