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Q.私は、10年前に銀行の住宅ローンにより自宅を購入しました。しかし、リストラで無収入となり、長期間返済が不可能となってしまったことから、銀行の抵当権が実行され、自宅の所有権がなくなりました。自宅の購入価額は3,000万円、強制換価手続き時の時価は約4,000万円です。この場合にも税金が課されるのか否かを教えてください。


A.資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合、強制換価手続き等による資産の譲渡については非課税とされ、譲渡税は課されません。

1.概要
 譲渡税の趣旨は、資産の移転時に、その資産の潜在的な値上がり益への課税を行うことです。この趣旨からすると、ご質問のケースについても課税対象となるのが原則であるといえます。
 しかしながら、強制換価手続き等により資産を移転する場合、通常は、その不動産所有者の全財産を用いたとしても債務の全額を返済することは不可能であるような状況です。すなわち、ご質問のケースのように抵当権が実行されて自宅を失ってしまうという場合、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に当たると思われますから、非課税とされます。

2.資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合とは
 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合とは、抵当権の実行を受けた人の債務超過の状態が著しく、近い将来についてもその資力の回復を期待することができないと認められる場合のことです。
 そのため、近い将来においてはその人の信用・才能等を用いて資金を調達する力があるという場合は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に当たりません。

3.資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の判定時期
 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に当たるか否かは、その資産を移転するときに判定します。
したがって、資産の譲渡時に債務超過という状態ではなかったものの、以後の事情から債務超過になったというときには、この非課税規定の適用を受けることはできません。逆に、資産の譲渡時に資力喪失との判定がなされたときには、たとえ後に資力が偶然に回復したとしても、この非課税規定の適用を受けることができます。
なお、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に当たれば、非課税であることから確定申告は不要です。