自社株対策がよく分かりません | 事業承継のここに注目!

事業承継のここに注目!

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未上場会社のオーナーが自社株の評価額を把握していないことによって、相続時に後継者が納税資金を確保することが不可能になり相続税破産などの状況に陥ると、相続人に対してだけではなく会社従業員にも影響を与えてしまいます。また、自社株の承継時には少なからず税負担を発生するため、現在の自社株の評価額をしっかり把握して後継者にスムーズに移転する方針を計画することが必要不可欠です。まずはご自分の有する株式が現在どのくらいなのか確認し、自社株の評価額だけでなく評価方法についても理解しておかなければなりません。自社株の評価の引き下げには、評価を通じて会社の状況を把握して評価を引き下げる対策を計画していきますが、この際には会社経営になるべく影響が少ないものを選びましょう。自社株対策の流れについては以下を参照してください。
 自社株対策で初めにおこなうことは評価のきまりに従って株価を計算し現在の自社株の価値を認識すること、つまり自社株の評価をすることです。例えば、自社株がどの評価方法を適用しているのか、そして何が原因で評価額が高くなっているのかなどの把握をします。類似業種比準価額が高いときには比準要素のうちどの要素の影響で高くなっているのか、そして純資産価額が高いときには会社のどの資産に含み益があるのかなどの原因について考えます。自社株の評価をしたことで想像以上に株価が高く将来の相続税の納税資金確保に困るオーナーもたくさんいるため、まずは自社株の評価額を認識して高い評価額の原因の分析をしましょう。
 自社株の相続税評価額は1株あたりの評価額×所有株式数で算出するので、評価額を下げるには1株あたりの評価額を下げるか、所有株式数を減らす必要があります。1株あたりの評価額を下げるには次のように、評価方式を変更する方法と株価自体を引き下げる方法があります。
まず、自社株の評価において評価のきまりに沿って計算した株価は、原則的評価の際には会社の大きさによる大会社、中会社、小会社の会社区分によって類似業種比準方式、純資産価額方式、類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷法式のいずれかで評価します。一般的に含み益がある資産を多く有する会社は純資産価額方式による評価額が類似業種比準方式による評価額よりも高くなるので、類似業種比準方式で評価する比率が高い会社区分へ変えることで株式の評価を下げることが可能です。大会社は類似業種比準方式で、中会社は類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷法式で評価されるので、会社の規模を大きくして小会社より中会社、中会社よりも大会社へ会社区分を変えることで株価の評価を下げることが可能となっています。
次に、株価自体を引き下げるにはどんな要因で評価額が高くなっているのかを分析することが大切です。類似業種比準価額が高いときにはその算定の根拠となる1株あたりの年配当額・1株あたりの年利益額・1株あたりの純資産額を引き下げることや類似業種変更を考えます。純資産価額が高いときには役員退職金の支払いや、含み損のある資産の売却など会社の純資産価額を下げることなどを考えます。
自社株対策では1株あたりの評価額を下げることを考える一方で、所有株式数をどのように移していくか検討することも大切です。移転先が個人なのか法人なのか、そして移転方法は贈与なのか譲渡なのか等の組み合わせによって税務上の課税関係が変わってくるので気をつけましょう。移転先と移転方法の組み合わせにおいて移転先が個人の場合は、後継者への贈与・後継者への譲渡・役員や従業員への譲渡等・取引先等の個人への譲渡等が考えられ、移転先が法人の場合は、資産管理会社(持株会社)への株式移転や交換・公益法人への寄附・第三者の法人への譲渡等が考えられます。自社株の評価、評価引き下げの検討、そして移転方法の検討ができたら次は実際に自社株対策の実行に取りかかります。実行にあたって租税回避行為として税務上否認されないように慎重に取りかかりましょう。