シマノの現行ロードバイク用11速コンポーネンツには同じグレード内でも幾つかの仕様がある。
脚質や体格、コース、スタイルに合わせて 長さや大きさなど スペックをほんの少し変更されたものだ。
TT(タイムトライアル)レースとシクロクロスでは競技様式もスピードレンジも全然違うし、シマノ最高峰グレードのデュラエース(DURA-ACE)などは 欧州基準なのかかなり細かく設定が用意されていたりする。
カドハチ(CAAD8)にはシマノの11速モデル「6800系アルテグラ(Ultegra)」が付けてある。
シマノD/Aに次ぐグレードで、僕の今のレベルでは「豚に真珠」くらいに 勿体無いほどいい代物だ。
そのアルテグラには「ジュニアスプロケット」なるものがリリースされている。
ジュニアとはJCF(日本自転車競技連盟)の定める17〜18才の競技者カテゴリのことで、彼らにはギア比に制限があり範囲内でないと競技に参加できない。
ジュニアスプロケットはそれに準じた構成のスプロケットのことをさす。
※16才以下にもU17、U15、U13と細かくカテゴリ分けされていて それぞれに制限があるが 17〜18才のそれよりもさらに低いギア比制限があるらしい。
↑偉そうに書いてるけどこれこの間初めて知った
標準的なリアスプロケットのスペックは11-28T。
6800系アルテグラではステージに応じて6つの異なるスペックがリリースされている。
僕が11速モデルで最初に入手したのは 最小11Tから最大32Tまで幅広く対応してるワイドレンジの11-32T。
俗に「乙女ギア」なんて言ったりするが、各ギア間は2〜4飛びで離れている。
それに対しジュニアスプロケット14-28Tは最大最小の差が14Tと範囲が狭くなる代わりに、各ギア同士の比率が小さく ほぼ全ギアが1飛びのクロスレシオ設定になっている。
【追記】
クロスレシオ、と表記しているけど厳密には「クローズ(クロウス)」レシオ。
クロスと単にカタカナで表記すると「交差する」ギア比と捉えてしまうがそんなことはあり得ない。
◯ close=閉じる、閉鎖、近接したなど
× cross=十字架、十文字、交差した
とはいってもこの手の「近接したギア比」のことは昔からクロスレシオと言っているわけで…
画像はとある高校生選手のスプロケット。
トップ14Tだけどフロントチェンリングが53Tのためリア15Tまでしか使えないように「封印」されている。
スプロケットの汚れ具合をみるとトップギア14Tが使われていないことがわかる。
※チェンリング52Tならばリア14Tまで使えるらしい。
彼のバイクをみて(もしかしたら混合できるかも…ということは…ウヒヒ)とか密かに妄想していたりしたわけで…。
左が11-32T、右が14-28T。
どちらも11速アルテグラCS-6800。
とあるお店の棚の奥にひっそり隠れてた「レース使用1度のみ」の中古品を見つけた。
価格は値札の半額ほど。
好奇心と欲望に負けたのかミギーが勝手にレジへ持っていくぅぅぅ…。
クロスレシオといえば、先日好奇心に負けて衝動買いした一つ下のグレード「105(イチマルゴ)」のCS-5800-12-25Tも各ギア間の比率が小さい。
最大山数25Tは高速巡航には向いているけど、ヒルクライム(坂道登り)をするにはペダルが重くなり かなりの豪脚が必要で 僕には少し無理のあるスペックだと思う。
歯車の大きさの変化具合は並べて比べるとわかる。
傾斜の具合が大ギアへ行くほど末広がりな11-32Tに比べて 14-28Tはタケノコ状になっている。
このタケノコの斜面が素直にまっすぐならば変速比が一定なわけで、変速の際 急にペダルが重くなったりせず脚への負担も減る。
※11-23Tともなると とんがりコーンみたいにキュッとなってる。
各ギアの構成を並べてみた。
これじゃわかりづらいのでシマノのHPからPDFを引っ張り出してみる。
ジュニアスプロケットは載ってなかったけど 各ユニットの構成がよくわかる。
同じ単体ギアでも刻印末尾の違うものは肉抜き形状など少し異なるプロファイルをしている(17、18Tなど)。
さらに各スペックの最小(トップギア)及びその次のギアはロックリングで抑える絡みで形状が違う(同じ12Tでも12-25Tと11-28Tとでは違う)。
手持ちの11-32Tと14-28Tとを組み合わせるとどうなるか。
上は各スペックの構成を表にしたもので、バラすことのできないローギアブロックは赤と青の網掛けにした。
これをもとにロー側は11-32Tを、トップ側は14-28Tのギアを組み合わせれば 最大山数32Tの乙女でありながらトップ14Tまでは1飛びのクロスレシオの夢のようなスプロケットになるんじゃなかろうか。
さっそく仮組み。
チューリップハットのような山の形になってる?
さすが純正品、削ったり拡げたりしてないからビシッと収まってくれた。
問題点は2つある。
1つはリアスプロケット32Tに対応するロングゲージ(RD-6800-GS)の対応トップギアのメーカー公表最大値は12Tであること。
もう1つはトップギア位置にチェーンが来た際にフレームのチェーンスティ付近と干渉しないこと。
カタログではメーカー推奨値範囲外なので保証外となる。
フレーム側はロープロファイル形状でなければ入るだろうけど このへんも「やってみないとワカンナイ」。
いずれにしても自己責任の上でやるしかない。
思った通り各ギアの繋がりの感触は良好で いいとこ取りのオイシイ仕様となった。
びしょ濡れになったけど。
ちょっと坂道登りたくなってきた…。
どちらも6800系アルテグラなのがポイントですよ。
→後日改良しています
2016/09/22 記