僕の自転車「cannondale CAAD8」のボトムブラケットはBB30という規格だ。

このBB30、ネットでググると「異音、パキパキ、ゴリゴリ…」とあまりいいイメージではない関連単語が出てくる。
カドハチ(CAAD8)グリーンは新車で購入したわけではなく、中古のフレームに手持ちのパーツを組み込んであるので「それ」はいずれそのうちやってくるとは思っていたが…。


「それ」は先日の南会津ロングライドでやってきた。
ダンシングでグッと脚を踏み込むとクランク付近からパキパキ音がしてきたのだ。
僕のところに来て かなり早い段階でこの症状が出てきたように感じるが、前オーナーは約5,000kmほど乗っていてノーメンテナンスだったらしいので まぁ距離相応かなとも思う。


そんなわけで今日はBB30の異音に対するメンテナンスのお話し。













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これが悪名高きBB30のベアリング。
自転車用語ではボトムブラケットと呼ぶらしいけど。
ボトムブラケットの規格「BB30」についての詳細は省くが、構造としてはフレームのBBシェルと呼ばれるクランク部の円筒形のパイプに ベアリング(クランク軸受け)が圧入されているだけの単純なもの。
左右のベアリングが平行に固定されるように内部にサークリップが2箇所留めてあり、それより奥へベアリングがめり込まないようになっている。















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何故BB30を採用したフレームは 往々にしてクランク付近から異音がするのか。


異音の発生源、種類を特定することから説明する。
その症状が出てくると 通常走行では発生しないが、ペダルを踏む脚にトルクを掛ける(ダンシング時など)と パキパキやコツコツと軽くて小さな音が聞こえてくるようになる。
タイヤの回転とはシンクロせず、脚の上下…特に踏み込んだ時にこの「異音」が出るようならば ほぼ間違いない。
※全てがこれに当てはまるわけではない、別の可能性も疑うこと

症状がそのまま進行すると脚にほんの少しショックが伝わるようになる。
さらに放置して進行するとバキーン!と音を立ててゴリゴリガリガリと四六時中異音が発生するようになる。
そうなる前に 定期的にメンテナンスするか 異音が発生しだしたら速やかに対策を講じる必要がある。

発生原因。
これはBBシェル内に固定されたベアリング内部のグリスが何らかの原因で流出・減少し ベアリング内部の金属同士が擦れてしまうことにある。
雨天時のサイクリングで水分が浸入したり グリスの経年劣化だったり…原因は様々だけど行き着く先はほぼ同じようだ。

異音を感じたらベアリングの状態をチェックし、グリスが減っているようなら充填・補充をする。
クランクシャフト(スピンドル)やベアリングそのものの損傷が酷いようならベアリングを打ち替え、シャフトを交換すれば異音は解消するはず。
(BBシェルやクランクそのもののダメージの場合はかなりの出費になる覚悟が必要)
















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早速作業に取り掛かる。
作業効率を考えてチェーン、タイヤ・ホイール、クランクは外しておく。
チェーンを付けたまま作業する場合はフレームが汚れたり傷つかないように養生しておく。
僕のカドハチグリーンにはシマノクランク(11速仕様だけど10速のアルテグラFC-6700)を取り付けているので クランク軸径30mm→24mm変換の下駄(アダプター)を付いている。
取り外しは反対側からピンポンチなどをあててプラハンで軽くコンコンするだけ。















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ベアリングが見えたら緑色のシールパッキンを先の細いもので丁寧に取り外す。
マイナスドライバーよりはカッターの刃先の方がいいかもしれない。


















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シールパッキンは再利用するのでウェスやペーパータオルで丁寧に汚れを拭き取る。
奥に見えるベアリング(銀色の玉)の隙間にグリスが満たされていればまず問題はないが、せっかくなのでグリスアップを施す。
フレームからベアリングを摘出しない場合はこのままパーツクリーナーなどをぶっかけて古いグリスを洗い流す。
床が汚れないように新聞紙などを敷いておくといい。














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ノンドライブ側のベアリングはパッキンを外すとリテーナー(ベアリングを均等に配置する樹脂状の玉押さえ)が見えた。
BB30フレームにありがちな事らしく 左右のベアリングのどちらかが表裏逆に取り付けられてしまっているようだ。
次のメンテナンスを考えてベアリング側を表面にしたいので ノンドライブ側のベアリングはフレームから取り外し、ドライブ側はフレームに付けたまま作業を進めることにした。
















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フレームから摘出する場合、腕に自信が無いなら専用工具(ベアリングプーラーやリムーバー)を使って押し出す。
構造的にはミニのハブベアリングと似ているので ピンポンチとダイソーのプラハンで裏側からコンコンして外した。

ベアリングを傷付けないように、かつBBシェルから平行に押し出すために均等にコンコンする。














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抜き取ったベアリングを見てみると案の定 内部のグリスが減少していた。
このほんの少しがパキパキと音を立て 乗り手のメンタルに直接ダメージを与えていくことになる。

















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パーツクリーナーをブシュー!

気持ちいいくらいにクルクル回ってくれる。
この状態でゴリゴリやザラザラと抵抗を感じるようならば潔く交換した方がいい。

この手順まで作業できるならば社外品のベアリング(外部軸受け)に打ち替えてもいいと思う。














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詰め込むグリスの種類は 巷のレビューではWAKO'Sのブレーキパッドの鳴き止めグリスが評判いいみたい。
そう、自動車整備に使うアレだ。
ぼくも手持ちがあったはず…とお道具箱を探してみたけど 見当たらなかったので カー用品店へ行ってみたがどこにも置いてなかった。
仕方が無いのでフィニッシュラインのグリスにした。

















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グリスは先の細いマイナスドライバーなどで丁寧に充填していく。
フィニッシュラインのグリスはテフロン成分を含んでおり、「プレミアムグリス」と同等のものらしいけど 触り心地は幾分サラッとしてて手に付いても簡単に拭き取れた。
その分粘度が少ない?のかもしれない。
やっぱりWAKO'Sのパッドグリスのほうがいいなぁ…。


反対側も同様にグリスアップをし、逆の手順で組み込んでいく。
ベアリング圧入は専用工具や太いボルトと大きめの丸ワッシャーなどでサンドイッチする自作工具もあるが、平らな木片をあててプラハンで少しづつコンコンすれば問題なく圧入することができる。









上記の作業は専用工具を使わず フレームからベアリングを外す方法と外さない方法でメンテナンス(グリスアップ)を施したが、自信の無い場合はちゃんと専用工具を使うか プロに任せたほうがいい。
自分で出来る人ならば 数百円の工具とグリス代のみでメンテナンスできる。

作業については自己責任ですよ。











パキパキ音は解消されました。







2016/07/20    記