忘れられないお母さんがいます。

お兄ちゃんは4歳、年中から幼稚園に入りました。
3歳半から週に3回療育に通ってはいましたが、母は子供たちを連れて公園や児童館に遊びに行く毎日でした。

そんなお兄ちゃんが3歳、弟くんが1歳半くらいの、ある日の公園での出来事です。

いつも通り子供たちを遊具で遊ばせていると、低学年くらいの小学生グループが公園にやって来ました。

その中の一人の男の子が、遊具の周りを自転車でぐるぐると回り始めました。
危ないなぁ…広いスペースで自転車に乗ってくれないかなぁと思っていると、男の子の自転車はよちよち歩きの弟くんにぶつかりました。

母は転倒した弟くんに駆け寄り、男の子に注意をしました。
その声の掛け方は感情的でした。

注意された男の子はたちまち癇癪しました。
「そっちから飛び出して来たんだ!」
「そっちが悪い!なんで僕が注意されなきゃいけないんだ!」
「飛び出しは道路交通法違反だ!」等、大きな声で母と弟くんを非難しだしました。

一緒にいたお友達に「やめろって!」と制止されても、男の子の興奮は冷めず、大きな声で暴言を吐き続けました。

我が家の子供たちが小学生になった今なら、あの男の子も発達の気になる子で、おそらく支援の必要なお子さんであったと思います。
でも当時の母には分からず、不快な気持ちいっぱいで、男の子の暴言を無視して弟くんを介抱していました。

すると騒ぎを聞きつけた男の子のお母さんが、公園にやって来ました。
男の子と少し話すと、母の側に来て「うちの子が何かしましたか?」と質問されました。

母が事情を説明すると、男の子のお母さんはぶるぶると震えました。
そして「怪我は?」と弟くんの怪我の確認をされました。

弟くんは擦り傷程度だったので、母は「大丈夫です」
と答えました。
男の子のお母さんは「謝りなさい!!」とお子さんに言いました。

男の子は「嫌だ〜!僕は悪くない」「謝りたくなーい!!」と大泣きする大癇癪になりました。
暴れるお子さんを半ば引きずるように抱えお母さんは公園を去って行きました。

しばらく経ち、そろそろ家に帰ろうと思っていると、男の子のお母さんが一人で公園に来ました。
母の前に立つと「先ほどはすみませんでした」と深々と頭を下げられました。

改めて謝りにきてくれた事に驚きながら、「いえいえ、大丈夫です」とそんな返しをしたと思います。

男の子のお母さんは「こちらが悪いのに嫌な思いをさせてしまい申し訳ありません、これからも公園でご一緒になる事があれば、よろしくお願い致します」と、さらに丁寧に謝って下さいました。
態度や表情から誠意が伝わってきました。


あれから数年経った今でも、あのお母さんの佇まいを思い出すと心を打たれます。立派な保護者さんだったなと思います。


障害のある子供を育てていると、頭を下げなければいけない事もたくさんあります。
同じ母親として人として学ぶことができる方だったと思うのです。







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