ぼくが写真を撮り始めたのは、２３歳の頃からだ。

高校生の頃よりぼくのオートバイの写真を撮り続けてくれていた友人・Ｓ君が鹿児島県の離島・喜界島に赴任したのを機会に、自分で撮る様になったのだった。

これは、赴任する直前にＳ君が撮ってくれたもの。

そして、これは高校生の頃にやまなみハイウェイで、やはりＳ君が撮ってくれたもの。

新聞配達をして貯めたお金で買った一眼レフカメラを片手に、よくぼくに着いてきてくれていた。

因みに、ぼくのオートバイ生活の最初の一枚を写真部の部室で一緒に焼いたのも、Ｓ君だ。

はじめてのカメラ・ミノルタＸ７００を購入したが、Ｓ君からカメラのイロハを教わっていたので写真を撮る事自体に苦労する事は無かった。

結婚と同時に職場のあった福岡県行橋市に転居して５年後、自宅を新築して故郷に戻って来た。

自分のオートバイの撮影は続けていたが、写真を休日に焼いてくれるお店が無くて困っていた。

そして、帰郷より２年後、日曜日でも営業しているお店を見付けた。

そのお店には、本当によく入り浸らせてもらった。

夜勤明けの休日などは、帰宅後直ぐに出掛けて暗くなるどころか深夜まで写真談義に花を咲かせた。

写真のイロハ以外の事は、全てこのお店で教わった。

露出の事。シャッター・スピードの事。絞りの事。

そして、それぞれの関係とそれらの組み合わせで写真がどの様に変化するのかなど、有りとあらゆる事を教わった。

そして、それらを実践したものを凄く安く焼いてくれて、その効果を実感させてもらった。

高校生の頃から撮り続けている自分のオートバイの写真に、自分の愛車・車の写真が加わったのもこの頃からだ。

それまでにも自分の愛車の写真は少しは撮っていたが、この頃から本格的に撮り始めた。

カタログに載っている様な写真を撮りたいと言うぼくに、もう充分撮れているから次は人を入れて物語を感じさせる写真を撮ると写真の幅が広がるよ！とアドバイスをもらった。

それ以来、自分自身と愛車の写真や、水面やガラスに写り込んだ写真、年代の違うカメラとそれぞれで撮った写真の並べた写真、更には、風や水の流れを連想させる写真など、思い付くままに写して写真にしていった。

また、数人の撮影仲間もでき、近くの田圃で鷺の撮影会の真似事などをして遊んだ事もあった。

誰が一番大きく撮れるか・・・などと言ってね。

やがてネガだけじゃなくポジでの撮影も経験させてもらった頃、携帯電話にカメラが付きはじめて、それから１０年ほどで街の写真屋さんはほとんどお店を畳んでしまう。

この写真は、お店の社長であるター坊さんが撮られたものか、それとも地面にカメラを置いてセルフ・タイマーで撮ったものかは定かではない。

現在、ター坊さんは末期の大腸癌で緩和ケア病棟に入院されている。

コロナ禍の中なので見舞いに制限が掛けられているので、家族ではないぼくがター坊さんにお目に掛かれる事はもう無いかも知れない。

ター坊さん、これまで本当に有り難うございました！

そして、ぼくの中では『写真屋ター坊』は、永遠に不滅です！