ロマニの声がカルデアに響き渡る。
カルデアが緊張に包まれ、その雰囲気を感じ取った君は管制室へ向かった。
「Dr.ロマンさん、何かあったんですか?みんな騒がしいけど…」
「魔法使いくん…いや、大丈夫だ…立香ちゃんならきっと」
君に状況を知られたくないのだろう。
ロマニは説明することなくギュッと拳を握る。
そんなロマニを見てウィズはため息を吐く。
全く隠しきれてないにゃ、という態度を隠さないウィズ。
「立香が怪我か何かしたかにゃ」
「…っ」
「にゃは、ばればれにゃ。私の弟子も隠し事は苦手な方だけどロマンはそれを越えるにゃ」
「んなっ。失礼な」
ウィズの言葉にロマニは顔を赤くして抗議するが、バレてしまったことは事実なのでそれ以上は何も言えない。
しかし、ウィズと会話していて落ち着いたのか状況を整理し、打開策を開こうと頭をフル回転する。
「まだ令呪はあるし、幸い英霊たちも全滅していない。なんとか活路を見出そう」
「助けに行こう」
「は!?魔法使いくん聞いてた?まだ令呪もあるし英霊たちもまだ…」
「それは今でしょ?何が起こるか分からないし、助けられるなら僕は助けたい」
「ダメだ。とてもじゃないけどレイシフトは許可できない」
魔法使い、というだけあって魔法を使うからには魔術の素養は十分あるだろうがレイシフト適性があるかといえば別の問題だし、そもそも魔術の理論が違う世界の人間がおいそれと出来るわけ….とロマニが考えている内に君はレイシフトの準備をダヴィンチと進めていた。
「ちょっと!許可出来ないって言ったよね!?っていうかダヴィンチちゃんもなにしてんの!?」
「不可能を可能にするのが魔法…こうありたい、こうしたいと願う力が大きな力になるんだ。今僕は死ぬほど立香ちゃんを助けたい!だからきっと出来るよ」
「よし!よく言った魔法使い!行ってこい!!」
「ちょっとォォォ!?」
ロマニの叫ぶようなツッコミはカルデア内に虚しく響き渡った。
『ほんとに成功させちゃったよ…』
「だから言ったでしょ大丈夫だって。さてと、ロマンさん、立香ちゃんの座標出して。僕から向かう。あぁでも立香ちゃんからは目を離さないであげて、座標さえくれればこっちはこっちでなんとかするから」
『そんな事言ったってほっとけるわけないだろ!あっ、30m先敵性生物?生物なの?あれ?』
『いや、機械じゃない?肉を断つドゥしてくる』
「なにそれ!?めっちゃ面白そう!超見たい!肉を断つドゥ超見たい!ねぇドロップする!?」
『ドロップしない!!でも運が良ければ歯車はドロップする。再臨素材に使えるから取っておく事って違う!そんなアドバイスじゃなくて!!』
緊迫した状況だというのに緊張感のカケラすらない会話にロマニは思わず流されるがなんとか踏み止まり君の援護をしながら立香の身の安全を最優先に指示を出す。
君はロマニの指示通り的確に素早く敵をさくさくと倒していく。
『凄い…ほとんど一撃じゃないか』
「まぁ、HP数十万の敵を相手にしてるもんでね、普段。ロマンさん、本当もう大丈夫だよ、今残滅発動させたからほっておけば敵溶けるし」
『残滅…?』
「そう、一定ターンの間特定倍率の属性ダメージを与える術。ミィアの残滅だから15ターン倍率100の火属性ダメージ。ミィアの攻撃力は1万を超えるから潜在込みで12,000〜13,000ダメージは堅いかな。4チェイン貯まればディートリヒのASも発動するし」
『ごめん、ほとんど言ってる意味分かんない。ただ一定期間大ダメージを周りに撒き散らす事はわかった』
ダメだこりゃとため息を吐くウィズを横目に君は「そんなに大ダメージというほどじゃないんだけどね」とボソリと呟く。
「いやぁ、ほんと全体攻撃楽だわー敵が溶ける溶ける〜」とお気楽モードな君達を見て本当に大丈夫なのだろうと判断したロマニは立香へ通信を試みる。
『大丈夫かい!?立香ちゃん!今魔法使いくんがそっちへ向かってるからなんとか持ちこたえて!』
「は!?え!?魔法使いさんが!?あの人レイシフト適正あったの!?」
『なんかもうなし崩し的にされた!結果あったから良かったものの…っ!!』
立香はロマニの声音から今頃机を拳で叩いてるんだろーなぁと想像する。
「まぁでも、魔法使いさんが居てくれるなら安心だね。守りならマーリンさんもマシュもいる私たちも負けない」
「はい、必ず先輩をお守りします」
「戦いは苦手だけど逃げるとの騙すのは得意だからね」
戦いが苦手と言いながら聖剣を振り回す筋力Bのキャスターがなに言ってんだと立香は冷たい目をマーリンに向ける。
ロマニに安全なルートを示してもらいながらなんとか君と合流しようとするが、運悪くシャドウサーヴァントと鉢合わせしてしまう。
マーリンもマシュも立香とは少し距離が離れており、万事休すか、と思われた。
『目覚めよ神雷!空の静寂打ち砕き あえかな夢を千切り裂け!』
少女の詠唱と共に光の柱が目の前で炸裂し立香を襲おうとしたシャドウサーヴァントは跡形もなく消え去った。
「よかった…間に合った…」
「いきなりリフィルのムーギートゥス・レオーニーヌスをブチかますなんて君はちょっと乱暴にゃ」
「今SS発動出来るのリフィルだけだったし…」
リフィルの潜在能力でファストスキルⅤ×2があるため初ターンから発動出来る。
何度か戦闘を行っていたため回復量もマックスではないがそれなりに蓄積されていたのか周りの敵も一掃された。
ちなみにボイスがSS+なのは単純に趣味なのだが、それは黙っておく。
「立香ちゃん、大丈夫?」
「うん、なんとか…」
「ちょっと待ってね…今のデッキだとGAアシュタルしかSS回復いないから応急処置的にはなるけど…無いよりはマシだと思う」
25%回復とステータスアップがGAアシュタルのスキルだ。
ちなみにLモードの精霊の数に応じてアップするステータス量が変動する(500固定でLモード精霊1体につき250)
「今のデッキというか君基本的に他人まで回復するスキル入れてないにゃ」
「いや、まぁそうなんだけどね…ASか潜在能力か精霊強化で回復することが多いからさ、最近」
なんなら他人まで回復出来るスキルを入れている方が珍しいのだ。
回復するより殴る方が早いというのが持論である。
「あ、それ分かるよ。私も呪文は噛むから苦手でね、殴った方が早いよね」
「いや、僕呪文自体は2秒前後なんで」
呪文が苦手と言うマーリンに対して君はピシャリと言い放てばマーリンは衝撃を受ける。
その衝撃を立香も受けたようで、信じられないような目で見てきている。
「え?2秒前後?」
「そうだよ。早い時は1秒切る」
「普通呪文ってこう難しい言葉をつらつら並べたりさ、するものじゃないの?」
「そんなつらつら並べてたら死ぬから無理。というかあれじゃん、おジ○魔女だってピーリカピリララポポリナペーペルトって言ってるけどあれも2〜3秒あればで言い終わるからね?」
「うん、魔法使いさんの早口言葉凄いなぁって思った。ピーリカピリララryをよく噛まずに言えるなって…」
あまりにも自分の想像と違ったためか立香は現実逃避するように関係のない事を口走る。
会話が成立していない。
「月一の魔道杯に関してはコンマ何秒で戦ってるからね」
「うわー、私君の世界にだけは行きたくないぞぅ!」
マーリンが君の言葉を聞いてさらにクエス=アリアスへは絶対に行きたくない気持ちを固めた。
こうしてなんとかレイシフト先でのミッションを終えてカルデアに帰ってきたわけだが、待ち構えていたのはもちろん目が笑っていない満面の笑みのロマニなわけで。
ダヴィンチと共に3人でしこたまロマニに説教を食らったのはまた別のお話