団七九郎兵衛 | 古今亭志ん輔 日々是凡日

団七九郎兵衛

$sinsukeのブログ

朝から降る雨は雷を伴っていた。華奢な家は震えていた。なのに、なぜか心は躍っていた。寝床で聞いた雨音も、雷鳴も、最近なかったこの時期に、持って来いの効果を醸し出していた。何年前か「夏祭浪花鑑」を観た。何のことだか良く分からなぬままに、人が殺されてゆく。その程度の観劇客だったが、なんだかかっこ良さを覚えた。人殺しの場面と、今日の空模様がシンクロした。心の内で、何かがモヤモヤとしていた。そのモヤモヤが、洗い流される気がした。遠い江戸の観客も、日頃の憂さを、こんなふうに晴らしていたんだろうか。団七の浴衣の柄は、そのまま自分の、手拭の柄になった。