悪強情・・ | 古今亭志ん輔 日々是凡日

悪強情・・

$sinsukeのブログ

「あれっ、ここにあったカレーは?」昼近く、やっと起きて来た師匠が聞いた「あっ・・いただきました」昨晩のカレーに味が染み込んでトロミを増す、それが大好きな師匠だった。「いただくのは良いけどさ、まだ大分あっただろ」確かに寸胴に1/3程は残っていた「ええ、もうあれだけ食べるのに、ご飯何杯食べたか分かりません」「・・?・・」「兄弟子に言われたんです。出された物は残すなって」「・・?・・」あの細い身体のどこに入るんだろうか、よく食べた。真打披露はお祭り騒ぎ。「昨日まで毎晩のみ続けて疲れたからさ、今日は『更科』でそばってのはどう?」「いいっすねえ」総勢10数人がひしめく座敷になった「なにやかやと頼んでもまとまらないからさ、取り合えず親子丼なんてどう?」「いいっすねえ」「親子丼!人数分」声が飛んだ「出来る間に、チョット飲もうか?」「いいっすねえ」ご馳走になる方の返事は決まっていた。「そば10枚で・・さ・・1万円・・乗らない?」「いいっすねえ」二人が答えた。志ん馬と志ん上だった。「親子丼が来るんだったなあ、やっぱり無理かな」「じゃあ、親子丼+盛りそば5枚でどうですか?」初めて違う返事が来た。2万円取られた。志ん上が言った「一時はどうなるかと思いましたよ。だって、2時間前に立ち食いで、天玉そばとおにぎり3個食べたばかりだったんで」「・・・」言葉がなかった。志ん上は食べて食べて、やっと、ひな太郎になった。