私は羊じゃないけれど、道の分からぬ迷妄の徒。私は半世紀生きたけど、いまだ覚えぬ幼子で。
 どっちに扉が開くのか、押したり引いたり、繰り返し。
 そもそも扉があるのかと、ときに疑う心が生える。
 好き勝手の書き放題。我がことながら、始末に負えぬ。

 酒に酔って歓楽街をふらつき、たまたま行き会った友人に、ビンタを張られたことがある。何をと思いながらもヘナヘナと座り込んだ。あれは激しい殴打で、私の頬には数日間くっきり手の跡が残った。

 「お前がしっかりしなくてどうする」
 叱責してくれた人はひどい病いですっかり痩せた。

 誰が誰の人生を生きているのか、煩悩具足の私にはわかる道理もないのである。自分のものと思えるほどの確かなものが見当たらない。
 ああ・・・と声をあげる、声をあげる。それはそれだけで、完結する。
 私の声はどこに届く?
 行き場があるや否や。それを知るとて、何になる。

 二月と言えども、本日ほんとによいお天気で、見知らぬ人にも寛容に、心がけるがよいことと。
 春を控えたこの日々は、乱高下する精神をなだめてすかしてやりすごす。
 泣けば泣くだけ。どこに通じるわけでもなし。
 
 では早々と、おやすみなさいを言いおいて、退場するのがよろしかろうと。