息子は今頃ガンジスのほとりか。
明日は母の誕生。生きていたら82歳。母の80を越した姿は想像できないが、きっと柔和な表情で、頭もバリバリで、相変わらず、自分のことは最後の最後だ。
20年近く前、私がインドに行ったとき、レートなんて知らない母は、20万円も小遣いをくれた。「これはインドで一年間暮らせるほどだよ。」「うそ~」。信じてない。「遠慮しなくていいから」。
ところが、出がける前に、庭のほうからと異臭が漂った。ガスの匂い。業者を呼んでみてもらうと、ガス管が腐食していることのこと。爆発の恐れあり。即効で修理を依頼。修理代が15万。小遣いのほとんどは、それに当てられた。ただし内緒。
爆発逃れて安心し、私は、インドへ旅立った。
そんなわけで、潤沢だった小遣いは、ほどほどに。それでも、実にありがたい。
母への土産は、ラピスラズリーの指輪とシンガポールで買ったシャネルの口紅。指輪は大きすぎたが、口紅は気に入ってくれた。
20万円で一年間暮らせる、と言ったくせに、お土産はこれだけ?
「指輪がとっても高いのよ」
「そうは見えないけどねえ」
インドは不思議な国だと思ったに違いない。父には「パンジャミ」。夫にはパンジャミと、マドラスで「これだな」と、マドラスチェックのシャツ。息子にはTシャツに木彫りの象。あとは、誰という事なしに、わけのわからぬ雑貨の類い。これが、実に情けなく、あっけなく壊れる、縮む、色あせる。まあ、それがインドだもんね。この「有様」が土産のようなものだ。
しかし。帰宅して驚いたのは家の中の惨状。当初は母が来てくれていたが、父子二人を楽しみたいと早々に田舎に帰したらしい。
うわ~、洗濯物の山、山、山。それは洗濯機に入りきらず、リビングを浸食している。洗濯機に入れたのも、ご愛嬌。だって、洗濯してないもん。
しかも、家に帰る前に、夫と息子に会って(息子が跳びつくように私の腕の中に入ってきたときは感動したなあ)、「食べたいものは?」と聞かれて、「寿司」と応えて、気分よく、お寿司を堪能したあとだ。満足、満足、ありがとう、なんて言いつつ、家に入った途端、私は数日かけてすべきことがあることを理解した。
「そっちもなかなか楽しんだらしね」。
「お義母さんは、全部きっちりしてくれるからありがたいけど、せっかくだから」。
夫と息子を残しても、母がいたから安心し、勝手にインド、なんてできたのに。こっちはこっちで、やってたわけだ。インドのカオスに似ていることを。では、お互いに楽しいいっときを過ごしたんだな。
今回、息子の旅に私がカンパしたのは2万円。お土産は、ラピスの指輪を所望。いいもの見つけても1000円以内と分かっているもん。
おかあさん、あの時の指輪、大き過ぎたのに随分大事にしてくれたよね。
私はサイズをちゃんと教えたから、大きすぎたら文句を言うよ。多分。
だってね、君のおとうさんは、旅に出てお土産を買ってきてくれるたび、いつもなぜかと?というくらい、見事にぴったりのものをプレゼントしてくれたからね。
母ほど寛容ではないかもね。
そう、明日は、母の誕生日。82になった母はあるいはもっともっと寛容な菩薩なような人になっていたような気がする。
そして・・・また、とうさんも、そういう人だよ。
明日は母の誕生。生きていたら82歳。母の80を越した姿は想像できないが、きっと柔和な表情で、頭もバリバリで、相変わらず、自分のことは最後の最後だ。
20年近く前、私がインドに行ったとき、レートなんて知らない母は、20万円も小遣いをくれた。「これはインドで一年間暮らせるほどだよ。」「うそ~」。信じてない。「遠慮しなくていいから」。
ところが、出がける前に、庭のほうからと異臭が漂った。ガスの匂い。業者を呼んでみてもらうと、ガス管が腐食していることのこと。爆発の恐れあり。即効で修理を依頼。修理代が15万。小遣いのほとんどは、それに当てられた。ただし内緒。
爆発逃れて安心し、私は、インドへ旅立った。
そんなわけで、潤沢だった小遣いは、ほどほどに。それでも、実にありがたい。
母への土産は、ラピスラズリーの指輪とシンガポールで買ったシャネルの口紅。指輪は大きすぎたが、口紅は気に入ってくれた。
20万円で一年間暮らせる、と言ったくせに、お土産はこれだけ?
「指輪がとっても高いのよ」
「そうは見えないけどねえ」
インドは不思議な国だと思ったに違いない。父には「パンジャミ」。夫にはパンジャミと、マドラスで「これだな」と、マドラスチェックのシャツ。息子にはTシャツに木彫りの象。あとは、誰という事なしに、わけのわからぬ雑貨の類い。これが、実に情けなく、あっけなく壊れる、縮む、色あせる。まあ、それがインドだもんね。この「有様」が土産のようなものだ。
しかし。帰宅して驚いたのは家の中の惨状。当初は母が来てくれていたが、父子二人を楽しみたいと早々に田舎に帰したらしい。
うわ~、洗濯物の山、山、山。それは洗濯機に入りきらず、リビングを浸食している。洗濯機に入れたのも、ご愛嬌。だって、洗濯してないもん。
しかも、家に帰る前に、夫と息子に会って(息子が跳びつくように私の腕の中に入ってきたときは感動したなあ)、「食べたいものは?」と聞かれて、「寿司」と応えて、気分よく、お寿司を堪能したあとだ。満足、満足、ありがとう、なんて言いつつ、家に入った途端、私は数日かけてすべきことがあることを理解した。
「そっちもなかなか楽しんだらしね」。
「お義母さんは、全部きっちりしてくれるからありがたいけど、せっかくだから」。
夫と息子を残しても、母がいたから安心し、勝手にインド、なんてできたのに。こっちはこっちで、やってたわけだ。インドのカオスに似ていることを。では、お互いに楽しいいっときを過ごしたんだな。
今回、息子の旅に私がカンパしたのは2万円。お土産は、ラピスの指輪を所望。いいもの見つけても1000円以内と分かっているもん。
おかあさん、あの時の指輪、大き過ぎたのに随分大事にしてくれたよね。
私はサイズをちゃんと教えたから、大きすぎたら文句を言うよ。多分。
だってね、君のおとうさんは、旅に出てお土産を買ってきてくれるたび、いつもなぜかと?というくらい、見事にぴったりのものをプレゼントしてくれたからね。
母ほど寛容ではないかもね。
そう、明日は、母の誕生日。82になった母はあるいはもっともっと寛容な菩薩なような人になっていたような気がする。
そして・・・また、とうさんも、そういう人だよ。