今日、息子が帰国する。夕方には、再会。

 先日、友人にインドで悲劇の一件を話したら・・・彼女の息子さんもオーストラリアで同様な憂き目に会ったという。
 こちらはもっと悲惨だ。ファーム留学で1年間。働きながらオーストラリア全域を旅する予定が、景気が悪くて仕事先がなかった。ある日、公園でぼんやりと昼寝でも・・・と思っていたとき、暴漢に襲われ、ケガはさせられ、荷物は奪われ。パスポートから有り金すべて。しかも救急車で運ばれた、その料金が10万円。
 幸いケガも大事にはいたらず、ファーム留学の窓口があったから、送金なども出来たというが、「バイトで貯めたお金で行く」と胸を張って出ていった彼の情けない表情が目に浮かぶ。インドのように物価が恐ろしく安いわけではないから、なくしたお金も大きい。

 友人とふたり、同じことを言う。
 「いい経験だよね」。他に言いようがない。これもなんとか、いのちあってのもの。

 それにしても彼女の息子さん。実に度胸があるというか、無謀というか。
 なにせ、出かけるときに大きな紙袋をひとつ下げていただけという。「まさか、紙袋でオーストラリアまで行く気じゃないでしょうね」。
 行く気でいたし、本当に行った。一旦は、だ。
 ところが、空港でパンパンの紙袋は、ついに重さに耐えられなくなり、あっけなくも破れてしまった。散々になった荷物を拾い集めたが、なんと、行きのチケットが見つからず終い。
 搭乗できずに、すごすごと戻ってきた。
 「自分のお金で買ったチケットだし、あんまり言ってもかわいそうだから」。

 数日後、彼はチケットを再購入し、今度こそバックパックを買い込んで、出かけたのだそうだ。
 思わず笑った。紙袋でオーストラリアへ?
 どうするつもりだったんだ?
 破れなくても、荷物を預けるカウンターでダメだしされるじゃんか。

 若者は怖いものなし・・・なのか?