帰ってきた。痩せている。
 最初のインドは、カレーに魅了され続けたが、今回はときおり「見るのもいや」で食欲が失せたらしい。
 
 で、ことの顛末を聞くと、デリーからバラナシまでの列車の中で、インド人の青年に話しかけられたそうだ。国内をあちこち旅していると言う。実直そう。話もなかなかな。
 バラナシに到着し、「一緒に映画でも見ないか」と誘われた。それはいい。なにせ、インドの映画って、おもしろいもの。

 映画館で、彼がコーヒーを買ってくれた。それを飲んだ途端、意識が酩酊し、眠り込んだらしい。なにが起きたか分からない。目覚めたとき、まだ彼はそばにいた。朦朧としつつ、ともに食事をしたらしい。「用事があるから、2、3分待っていて」。
 出て行った彼。待てども待てども帰ってはこない。
 自分がどうやって宿を探したかも覚えがないという。気がついたら、どこかの宿にいて、受付のインド人が、異変を察知。
 そこで、荷物を調べると・・・「インドの悲劇」だ。お金は1000ルピーほど残されていたらしい。しばらく食事ができる程度。宿の彼が大変親切な人で、三度の食事は無料で提供してくれたという。
 
 怒りが全然起きなかった・・・。
 なんだか分かる。インドって、そういう地。私の送金は、気を使っただけ多すぎたそうで(たいした額ではないけれど)残りを返してくれた。その分、お土産も「チャイ」ひとパック。出がけにこれを買ってきて、と頼んだものもなし。「そんな余裕ないもん」。
 違うよ。きっとインド人化した結果。
 
 「なにが食べたい? お寿司?」
 「サラダ。野菜が欲しい」

 そうね。どこに出かけても、野菜不足になるものね。サラダと煮物で、野菜をもりもり食べたなら、「日本人」に戻るだろう。
 それにしても、チャイ一袋とは、寂しいで、ござる。