小さな、小さな、はかない命だった。
先週、金曜日。
会社の前に、段ボールに入れられた仔猫弱っていた。どうする?・・・というわけで、息子が連れ帰った次第。なんとか、生きとおしてほしい、と願うが、世界は敵だとでも言いたげに眼光鋭く私たちをにらみつける。
ミルクもエサも口にしない。指で与えようとしても、かみつこうとする。

さて、飼い主がいたのか、捨て猫の産み落としたものを不憫に思った人が、そっと誰かに助けを求めて置き去りにしたのか。

実は、我が家、猫アレルギーである。私も息子も、亡くなった夫も、猫の毛でくしゃみはおろか、呼吸も苦しくなる始末。それでも、元気になるまでは、そしてもらい手が決まるまでは飼おうということになった。選択肢はないのだから。

翌日、仔猫は空腹に耐えかねたのか、ミルクを飲み、与えたものを口にした。律儀にもおしっこは、広げた新聞紙に。やっぱり、飼われていたのかなあ・・・。

息子と一緒に、トイレや猫砂、キャットフードを購入。しゃれた「食器」もご用意。猫アレルギーではあるけれど、引き受け手がないなら、最後は我が家か・・・と腹も決めた。

そして昨日。撫でてやると私の指をなめてくれた。警戒心が薄れたかな。ちょっと、心が弾んだ。

今日。子猫は粗相をして、私に叱られ、二度目は、きちんとトイレに。おう、学習能力あるじゃんか。
段ボールから飛び出すと、日当たりのいいところに寝転んで「これが猫でございます」のポーズ。
一安心。

ところが、だ。目を放すと、うろうろと、陰になるところを選んでは隠れていく。靴箱の隅が気に入ったようで、彼女は、うずくまるように丸まった。ま、お好きにどうぞ。
「マリアなんて名前はどう?」「マリア・・・ねえ」
飼い主を探すと言いつつ、息子と交わす会話。じきにアレルギーにも免疫ができるかも・・・と字徐々に飼う気が生じてくる。

ときどき、様子を見に行くが、じっと靴箱のところから動かない。よほど怖い思いをしたんだろうねえ。気の毒に・・・。
それからしばらく。さあ、そろそろ夕飯を、少しでも・・・と彼女に触ると・・・・。
すでに硬直していた。四肢を伸ばして目を閉じて。

何日を生きたのだろう。この命も必然だったのか。子猫は死んだ。