祖父にせよ、宇文叔父さんにせよ、雷威にせよ、
 人が死ぬたびに、その人がいた世界も消え失せる。
 わたしは彼らなしでやっていかなければならない。
 もとの世界とはまったく別物の、もっと曖昧で、冷たくて、無関心を包み隠そうとしない
 新しい世界に、わたしの脚はすくむ。

 暖かな外套を一枚ずつ剥がされ、肉体がむきだしになっていくようだ。
 わたしの心は、ぬくもりを求めるが、
 しかし、わたしの魂はそうじゃない。
 年を追うごとに、わたしの魂は彼らとともに在るのだと感じる。
 彼らの目でものを見、彼らの耳で声を聞き、彼らの態度に永遠の憧れを抱く。

 けっして帰れるはずのない。、古い世界へと沈んでいく。
 わたしの心は、そうやって、慰められる。

 (東山彰良 2015 「流」 講談社)より