電信柱の列がだんだん小さくなっていくような
  光景に出会うと
  いまでも涙が出そうになる――。


  夕焼けの地平線へ向けて
  電信柱が遠近法で小さくなっていくのを見るだけで
  涙がこぼれそうになるのは、私だけではないと思います。
  そのように、私が遠近法に詩を感じるのは事実で、
  それは私の深いところにつながっていると思います。
  
  しかし同様に、私の深いところにつながっていながら、
  まだ私が気づかない私の詩のみなもとは山ほどあると思います。
  幼い日の私の五感のさまざまな経験の中に。


  (まど・みちお「どんな小さなものでもみつめていると宇宙につながっている」新潮社)