用事があって街まででかけると、川べりの夾竹桃が咲いていた。
 これは、夏の光景。車のラジオが言った。「今日は7月の夏さです」。

 あの花を見ると泣きたくなるのはなぜだろう。夾竹桃のせいではない。
 ある種のもの・・・あるいはある種のシーンにおいて・・・は心を柔らかくして涙を落させる。そのものは、ひとそれぞれだとしても。
 なにか奥のほうに感応するなにかがあるのだろう。思い出かもしれないし、いつか見た映画、いつか読んだページにかかわっているのかもしれない。

 夾竹桃は? わからない。

 結婚する頃の、夫と橋を渡っているシーンをなんどか思い出す。あの橋は、最初の家の近くだから、なんども渡っているのだが、思い出すのは、夏の夕暮れ。きまって同じ光景だ。同じというのは、似たような光量だから、きっと同じだろうと。夏といっても終わりかけだ。それだけで、寂しいが。

 
 夾竹桃は? なんだろう。灯篭流しとダブるのか。灯篭流しは寂しいものね。


 ん?
 B.Bキング、殺人の可能性だって? 司法解剖? 

 貧しい綿花農場で育った少年は、なにを見て涙を落していたのだろう。