平成10年1月17日生まれ。14歳。
 貰い受けたのは、3月でそれでチェリーと名付けたのだが、母が亡くなって2週間目に生まれたことに、なにかしらの因縁を感じた。
 あの立派な母が犬に生まれ変わったとは思わないが、まるで母からの贈り物のようで。お茶目なくせに温厚で、ムダ啼きもせず、ことに息子がかわいがり、おっとりのんびり育ってくれた。
 
 先の土曜日。息子の大きな声に階下に降りると、庭でチェリーがふらついていた。食事をもどし、目はうつろ。歩く事もままならない様子。即、医者へと向かう。
 「心臓が弱っていますね。脳梗塞もあるようです」。

 脳の異変で、平衡感覚を失っているらしい。この年齢では手術はムリ。薬でなんとかしのぐほかない。
 その日は、玄関先に寝かせた。動けないから、おしっこは垂れ流し。利尿剤を投与されているから、それも頻繁である。一晩チェリーのそばで、そのたびにタオルでふいてやる。なでていると、安心するようでもある。終始、目がまわっているのが分かる。
 日曜日。前日よりは呼吸も楽そう。朝通院。注射と点滴。
 「高齢ですから、確約はできませんが、一週間の通院で歩けるようになるでしょう」。

 ホッと胸を撫で下ろすものの、チェリーが自分の状態に恐れをなしているのが伝わる。「大丈夫。大丈夫。なにがなんでも治してやるから」。
 昨日。同じ治療。目のぐるぐるが少しおさまった。帰ると、よろよろとだが自力で歩こうとする。だたし、食欲はなし。
 「点滴で栄養はカバーしているので、気にしないでいいですよ。そのうち、徐々に食欲も回復しますから」。

 朝晩、嫌がるチェリーに心臓の薬を飲ませる。錠剤を砕いて、蜂蜜で練り、口をこじあけて強引に。
 お前さんは大切な家族。まだまだ離れたくない。いつまでも一緒にいたい。通じているよね。今日も、もうじき病院へ、一日一日、回復へ向かってくれるのを祈るしかない。