夜中のことだ。ただし、何時頃かの見当はつかない。なにか、いやな気持ちで”意識”が目覚めた。物音が聞こえるようでもある。誰かが侵入してる? いやいや、そうなら、いかなチェリーでも吠え立てるはず。そもそもチェリーは無事なのか? 不安にかられる。
 そんなことは考え巡らせらられるのに、まず目が開かない。頭の中で自問する。なぜ? 目の開け方がわからないのだ。体も動かせない。声も出せない。幻聴に違いないものが聞こえる。幻聴だと言い聞かせても、恐怖心はぬぐえない。

 「トイレに行くつもりで、当たり前に起きてみよう」
  そう言い聞かせた。しかし、体は動かないまま。ああ、金縛りだ。睡眠麻痺とも言うそうな。それと分かっても恐怖が薄らぐわけではない。怖い。
 
 お隣さんは刑事のおうち、だから大丈夫。埒もないことを思う。起きて安全を確かめたいのに、起きる術がない。
 これで何度目だろう。
 金縛りを心霊現象、なんて思ってはいないから、そういう意味の怖さは皆無。しかし、意識はおぼろげながら覚醒しており、思うように動くはずの体が動かないというのは、なんということだ。
 朝がくれば、とけると知っているけれど、すんなり二度寝に入れるほどの剛胆さもなし。そうとは言っても、術もなくワナワナするだけ。

 もともと、若い頃から睡眠には”問題”があった。不眠症と過眠症。眠れない時期が続くと思うと、その反動でか眠りこける時期もあり。ひどかったのは高校3年のとき。半年は不眠症、目ばかりをギラギラさせながら気味の悪い汗をかき、秋以降は、夜を待たずに寝入るという具合。でも当時、金縛りにあったことはない。この1、2年のこと。

 大丈夫、と言い聞かす。大丈夫、大丈夫。
 これは単なる金縛り。起きる要もないんだと。
 しかも、金縛りを経験してなお、寝るのが怖いなんて思わないから不思議なものだ。それどころか、日によって12~13時間も寝て過ごす。人生の半分!気づいて唖然。
 ま、起きていても、役に立たない私である。

イメージ 1