ああ、なにもかも忘れてベロンベロンに酔っぱらいたいな・・・なんて思う。

 実際、珍しくもない。過去に何度もしでかしている。一度など、怒りにまかせて(原因は忘れたけれど)食器棚をひっくり返してやろうと、力任せに頑張ったけれど、徒労に終わった。翌朝、よくぞ、倒れずにいてくれたものよと、胸をなでおろす始末。万一にもひっくり返っていたら、私はのそりのそりと片付けながら、猛烈な自己嫌悪に陥っていただろう。重たくて、ありがとう。

 ひどく酔った最後は去年の夏かな。友人と息子と三人で我が家で食事して、普通はあまり飲まないワインを、結構飲んだ。わずかな間に前後不覚。ふたりして、布団まで運んでくれたが、翌朝、足や腕のあちこちにどこかにぶつけたらしい痣が残っていた。
 あれは、そうだ。息子がアメリカから帰った頃のこと。食欲もなく、私のエネルギーは底をつき、基礎代謝カロリーが一日900kcal以下という、8歳児程度まで落ち込んでしまった。
 友人は「小学生が飲酒してはいけない理由が分かったよ。体力の問題だな」と。おー、納得。
 ところで、これまでビール党だった私は、今でもこよなくビールを愛している。しゃれたところ?では、ギネスの生がいい。本場、アイルランドのパブに行きたくなるほどに。缶の黒ビールはラガーと半々というもよし。
 中国の青島ビールも、インドのキングフィッシャーもタイのシンハーもベトナムのサイゴンビールも沖縄のオリオンも、それからバドワイザーのライトな感覚も、それぞれにいい。コロナも捨てがたい。

 先日亡くなった友人が、一昨年訪ねてきてくれたとき、ノンアルコールビールを、普通のビールで割って飲んだら、体へのダメージが少ないのではと提案。そこで二人、ノンアルコールをかなり買い、割っては飲んだが、なにせ量がすごいから、摂取したアルコールは相当なものかも。
 当時、世界初、アルコール度数0.00%というビールは売れ行き好調で、友人が帰宅したら、周辺の酒屋で売れきれとのこと。
 「だったら、送るよ」。 
 「どうせ送ってくれるなら、普通のビールにしてくれない?」
 「そんなの、わざわざ送る意味ないでしょ」。

 あ、忘れてた。私、ベロンベロンに酔っぱらいたかったんだ。だけど、ひとりでこれをやってしまうとね、食器棚どころか自分の身の安全確保もむつかしくなるから、ひとまずはお預けと。
 夫に言わせると「お前、ビールはもう、全生涯分、飲んでしまっているだろう」。そうよね、でもビール以外のアルコールには極端に弱いから。仕方ないじゃない。

 忘れたくて酔いたいと思いながらも、思い出ばかりが蘇る。忘れたくないんだ、な。