特別凝った料理など作るわけでもないし、「お家カフェ」なんて無縁な言葉。それでも我が家は、うちごはんが好きな家庭である。
 子どもが中学生の頃から外で食事をするのを嫌うようになった。「お茶漬けでもいいから家がいい」。ゆっくり、のんびり食事をしたいのだ。出かけるのが面倒というものあるし、食べたいものは、案外、うちごはんのほうがまかなえる。
 大学に入った当初から続けている本屋のバイトは午後6時から0時まで。間に食事休憩があるが、息子はお弁当を持って行く。もちろん作るのは私だけど。節約もかねているがやはり外で食事をするのがイヤみたい。

 母は毎日三食の献立をメモするくらい料理に熱心な人で、「食べる薬」と言った本などを読みながら、肝臓が悪い父のために様々な工夫をしていた。この父が、また全く、母の手料理以外口にしない。だから総菜はおろか、実家では家族で外食などした試しがなし。

 というわけで、きちんとした外食は、ほとんどが特別な日に限られる。たとえば私の誕生日。家族の誕生日にはうちでごちそうを作るから。つまり、滅多にないことだ。ランチの類いは別にして。
 
 結婚して、一番張り切ったのも食事作りである。二人で働いていたから、ゆとりもあって、それでもエンゲル係数は高かった。お酒も含めてなんだけど。ひょっこり友人が訪ねてきても、今日は何かのお祝いか?と聞かれるくらい、品数を作った。あの頃は、キムチなんて自家製で作ったこともあるくらい。子どもも長くいないまま、時間はたっぷりあったから。

 明日は友人ともども外食予定。息子の就職祝いである。
 二年の休学に終止符を打って、父親から譲り受けた名刺入れで、社会に出て行く。
 君の春だ。