えい。もうついでに言っちゃえ。
 ひと月くらい前になるか、ならない頃。お昼に、これも友人と田舎の道をドライブしていた。さて、どこでランチにしましょうか?
 国道に出て、しばらく走ると一際目立つ飲食店。茅葺き屋根に水車もあって、まことに風情のある様子。「うどん・そば」。立地から言うと、ドライブインという具合だが、なかなか趣がある。駐車場もゆったりしていることだし、迷うことなく(他に見つからなかったし)停車。

 友人は天ぷらうどん。私は「天ぷらそば」と言ったところで、「おそばはザルしかありません」。では天ザルを。そうか、ザルしかないというこだわりに、うっすら期待が高まるというもの。
 まずは、うどんが先に来た。「お先に」と友人がひと声かけて食べ始めた。うどんをこよなく愛す人。黙々と食べ始める。
 ひと呼吸置いて、天ザルの登場。
 さて、と、はしでつまんだら、そばがぶちぶち切れていく。すする。まずいの二重奏。まずそばがなにゆえぶちぶち切れるか。明らかに茹で過ぎ。ぐにゃり、ぐちゃりとしたそばが、勝手に切れてしまうのだ。その上、つゆに味がない。これは色のついた水?
 仕方ないので、天ぷらにとりかかる。
 しょっぱい。
 しかし、このしょっぱさで、そばに味をつけるしかない。

 向かいあった友人は、黙ってうどんをすすっている。「まずい」と水を差す様なことを言っては気をそいでしまう。
 私も黙って、そばらしきものをすする。

 店を出て、おずおずと聞いてみた。
 「おいしかった?」
 「めちゃ、まずい!」

 それから二人して、「まずかった」の連発。
 しかも、あの店、うどんとそばがメインメニュー。おむすびや定食もなかったのだ。田舎の人の労働は、きつくてことさら塩気が必要なのか。田舎はお年寄りが多いから、こしのあるそばはタブーなんだろうか。
 店の構えがなかなかだけに、うなだれながら「おみそれしました」「まいりました」。