おはよう。
 子供の頃は、よく眠る子だった。小さな頃の写真は、昼寝の様子が多い。うつぶせで。得てして子供はよく寝るものだが、寝起きが随分悪かった。ぐずりにぐずって当たり散らし、手を煩わせた。子供の頃の我が家では、父が遅く帰っても、必ず食事は父を待ってからだったから、その間に一眠りでもしてしまうと、もういけない。「起きなさい」と叱咤されつつ半分ふてくされてしまう。
 息子が私によく似ている。もう子供という年齢ではないが、この寝起きの悪さ、寝不足の時の愛想のなさ。憮然として口も利こうとしない態度。我が身を見るようだが、それでもやっぱり腹が立つ。

 一度。夕食時に片肘ついて実に面倒くさそうに食事を始めた。寝起きだったのだ。見とがめた夫が「イヤなら食べるな!」と一喝した。すると息子は家を出て行ってしまった。2~3年前のことだ。
 ちょうど、夏の休みに当たっていて、翌日から車で旅行に出る予定だった。出発は午後2時と決めていた。
 その夜、息子は帰らなかった。先輩なり、後輩なりの下宿にでもやっかいになったのだろう。出発までに帰ってくるだろうか? 翌朝そんなことを話していると、「間違いなく帰ってくるから安心していなさい」と夫は泰然としている。

 果たして、2時前に帰宅した息子は、顔を合わせにくそうにしつつも「オレ、昨日の夜から何も食べていないのだけど・・・どこかで何か食べさせてもらえない?」と実に低姿勢である。
 「食べなかったのは、自分の勝手でしょう」「お願い。一番近いパーキングエリアに寄ってね」。
 反省したのだろう。荷物も率先して車に運び込む。昨夜は暑かったねなどと、たわいもないことをことさら話しかけてくる。言葉つきも柔らかい。フフンだ。どうだ、まいったか。

 私の眠りぼけは、高校生のときの昼夜逆転のような生活で、不眠症へと変わった。それをひきずって大人になり、不眠症とは長い付き合いとなった。今は、薬を処方してもらっているから、眠りに不安はない。10時間は眠れる。精神状態の悪いときなど、夕方6時か7時には早々に眠ることもできる。

 息子の寝起きの悪さは相変わらずである。私は彼の予定に合わせて目覚まし時計の役目をしているが、時々、蹴飛ばしたくなってくる。しかし、若者は眠いのだ。眠る体力にあふれているのだ。これで起き抜けに、機嫌さえよければ文句もないのだけれど。

 それにしても今朝、驚くほどの暖かさ。布団から出ても、布団の中にいるみたい。
 もうせっかちに、冬のものは洗って片付けたから、このまま夏に向かっておくれ。一足飛びでもかまわない。裸に近くなりたいと、体が解放されたがっている。