おはよう。気持ちが「南下」したがっている。
 そこで、空想。
 剥き出しの腕で浜辺を歩く。短パン姿で。足元はサンダル履きだ。日もまた剥き出しのままで、ジリジリと肌を焦がす。
 街中に出て、熱気を帯びた市場をそぞろ歩く。干したデーツや果実を山盛りにして売っている露天の前で、くたびれたTシャツを来た若者が真っ黒に日焼けした顔で笑う。冷やかし半分で歩いているうちに、手にはビニール袋。

 破れかけた椅子に座って、真っ昼間からビールを飲む。聞き取れない会話が四方から押し寄せる。

 ずらりと並んだ土産物屋をぶらりぶらりと行き来する。色とりどりの布が所狭しと吊るされている。いつまでも日暮れが来ない。太陽はとことん頭上にある。
 花売りの少女が通る。端正な顔つきをして。
 大通りでは、埃を撒き散らしながらトラックが走る。人であふれたバスが行く。路上に座り込んだ人たちが、安物のタバコをふかしている。

 混沌。

 静かな休日の朝。私はひとり、戯れの旅情の中にいる。雑踏をかき分けながら、雲雀の声に耳を傾ける。