おはよう。
 気温は少し下がったが、窓から入る大きな光が、そんなことを感じさせない。
 朝の
 柔らかな
 とても大事な時間。

 「喜びは
  朝のひととき
  冬の日をあびて
  一本の煙草をくわえる
  煙は乱れて
  ゆるやかに
  光の中を流れる
  昨日のことも思わず
  明日のことも思わず
  ゆるやかに流れる時の中に
  いる
  そうして三十分か
  一時間
  低血圧の呪縛がゆるみ
  血が 
  新しく
  体のすみずみにゆき渡るまで
  喜びは
  朝の一杯の茶
  酒のことも女のことも
  思わず

  ひとたび立ち上がると
  うれいや
  悲しみは
  数限りなく
  老い傷ついた虎の様に
  巷へ出るのだ」
  (黒田三郎「朝」/新選黒田三郎詩集/思潮社)