『メコン』
石井米雄 (著), 横山良一(写真)/めこん/1995

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 「雲南からミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム、南シナ海まで、大河メコンを時間的・空間的に楽しむ本。空間のメコンに10年間をかけた160頁のカラー写真。時間のメコンは38年間のメコンへのこだわりの文章(「MARC」データベースより)」。

 おもしろい作りの本である。全体は350ページ余りであるが、右から開くと石井米雄氏の192ページにわたる紀行文。反対側から開くと、写真集である。紀行文や旅行記が好きな私には、これだけすばらしい写真が掲載されているとなると、「読む」ほうも倍楽しくなる。

 一度だけメコンを見て、メコンを渡った。その感慨がないでもないが、当然ながらそんな「立寄り」程度の質量ではない。

 さて、文章か写真か、どちらから説明すればいいだろう?

 では、文章の書き出しから。
 「ひさびさのメコンだ。」 
 いいじゃないか。まるで『走れメロス』の冒頭。「メロスは激怒した。」
 石井氏は、稲作を中心にアジアの歴史学を専攻する学者。歯切れのいい文体でメコン河の歴史的、文化的な意味を説きつつ、旅情豊かに語りかけてくれる。

 そして、写真集のほうの扉には横山氏のこんな言葉が載っている。

 メコンの 
 すべてを見たいと思った 
 源流チベットから南シナ海まで
 戻ることのない「河の流れのような旅」を
 してみようと思ったのだ