『コレラの時代の愛』
ガブリエル・ガルシア=マルケス (著), 木村 榮一 (翻訳)  新潮社/2006

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 長い間、新しい作品が邦訳されていなかったガルシア=マルケスの著作が、同時期に2冊出版された。『わが悲しき娼婦たちの思い出』と、本書の『コレラの時代の愛』である。
 前者は、ある新聞の書評で、川端康成の「眠れる美女」に想を得た作品であると知ったために、かえって興味を失った。「眠れる美女」の冒頭が頭に引用されているらしい。
 結果的に本書を読むことになった・・・と言っては著者に申し訳ないが。

 「51年9カ月と4日、男は女を待ち続けていた・・・。
  愛が愛であること。その限界にまで、かくも細緻、かくも壮大に挑んだ長編」
 とは本の帯からの引用。
 
 同じく
 「夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳。彼女への思いを胸に、独身を守ってきたという男は76歳。ついにその夜(=夫が亡くなった日の夜)、男は女に愛を告げた。困惑と不安、記憶と期待がさまざまに交錯する二人を乗せた蒸気船が、コロンビアの大河をただよい始めた時…。内戦が疫病のように猖獗した時代を背景に、悠然とくり広げられる、愛の真実の物語」。

 むろん、男は女をただ待っていただけではない。男には男の人生があり、女にも夫とのかけがえのない生活があった。二人の人生は、それぞれにふさわしい重さを持っていた。
 それでも男は生涯をかけて女を待った。
 そしてついに半世紀を経て、女が未亡人になったその夜、男は求愛する。それは2度目の告白であり、最初の告白で2人は結婚の約束までしたのだったが・・・。

 ガルシア=マルケスらしく、物語は、回想や幻想的な場面の挿入とともに進行するが、それらは淡々と語られるだけである。
 500ページを超える長編だが、『百年の孤独』に比べれば、50年分ほど短い。