シャーンドル・マーライ 平野 卿子訳/ 集英社/2003

「思い出というのは不思議なやり方で価値あるものとそうでないものをより分ける マタイ伝3-12」
主人公である老貴族ヘンリク、彼のもとに、ある日一通の手紙が届く。
それは、かつての親友・コンラードからのものだった。
まるで兄弟のように育った二人だったが、コンラードの突然の失踪。そして彼と妻の仲を知った日から41年を経て果たす友との再会。
「同士や仲間意識は時として友情と似ている。また共通の興味も友情まがいのものを生み出す。(略)だが、それは本物ではない。人間はそれより、むしろ友情を務めたいと思うのだ。相手からの見返りを期待しない。礼を求めない。相手の欠点を見て、それをも含めてまるごと受け入れる。そして、そういうものなしに生きるなら、人間でいることにいったい何の価値がある?
友に裏切られたからといって、その友の性格や弱点を非難することが許されるだろうか?
相手をその人徳や誠実さゆえに愛する、そんな友情にいったい何の価値がある?相手の誠実さをあてにする、そんな愛に何の価値がある?」
「本当に何一つ要求せず期待しない。それこそがあらゆる人間関係において真に価値あるものではないか?」
それは、かつての親友・コンラードからのものだった。
まるで兄弟のように育った二人だったが、コンラードの突然の失踪。そして彼と妻の仲を知った日から41年を経て果たす友との再会。
「同士や仲間意識は時として友情と似ている。また共通の興味も友情まがいのものを生み出す。(略)だが、それは本物ではない。人間はそれより、むしろ友情を務めたいと思うのだ。相手からの見返りを期待しない。礼を求めない。相手の欠点を見て、それをも含めてまるごと受け入れる。そして、そういうものなしに生きるなら、人間でいることにいったい何の価値がある?
友に裏切られたからといって、その友の性格や弱点を非難することが許されるだろうか?
相手をその人徳や誠実さゆえに愛する、そんな友情にいったい何の価値がある?相手の誠実さをあてにする、そんな愛に何の価値がある?」
「本当に何一つ要求せず期待しない。それこそがあらゆる人間関係において真に価値あるものではないか?」
「人と人との本当のありようを知ることはできないし、それを知ったからといって人は賢くなるわけではない。だからこそ我々は、相手に無条件の誠実さと正直さを要求する権利はないのだ」
「人間の罪はなにをしたかでなく、その意図にある。その行為の隠された意図に。人間というものは不誠実な行為、卑劣な行為、いやそれどころか殺人さえ犯しうる。だが、それにもかかわらず、無実だということがあるのだ」。
著者は1900年生まれ。30年代はハンガリーを代表する作家であったが、48年アメリカに亡命し、89年、自らの手で命を絶った。