夢を見た
 夢を見て泣きながら目を覚ました
 しばらくは夢と現の区別がつかなかった
 その後で、区別をつけることに
 何かしらの意味があるとも思えなくなった
 
 16歳の私は無謀にも
 中也の師事した詩人に手紙を出した
 拙いものを添えて
 その人からは思いもよらぬ返事が届いた
 
 25歳の私はそれを河原で焼いた
 「25年分」は火にくべられて
 煙となって消えていった

 「皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿」
 と、うたった、かの詩人は
 私が32の時に亡くなった

 「留守と言え
 ここには誰も居らぬと言え
 五億年経ったら帰って来る」
 そんなことを言いながら
 
 一切は不二 そうであるなら
 夢と現と、世界を二分することに
 何らかの意味などあろうはずもないのだ
 
 庭にナツツバキの花が咲いた