伝道者は言う。
空の空、いっさいは空である。
日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。
世は去り、世はきたる。
しかし地は永遠に変わらない。
日は出で、日は没し、その出でた所に急ぎ行く。
風は南に吹き、また転じて北に向かい
巡り巡って、また巡る所に帰る。
川はみな海に流れ入る、しかし海は満ちることはない。
川はその出てきた所にまた帰っていく。
すべてのことは、人を倦み疲れさす。
人はこれを言い尽くすことはできない。
目は見ることに飽きることはなく
耳は聞くことに満足することがない。
先にあったことは、また後にもある。
先になされたことは、また後にもなされる。
日の下には新しいものはない。
見よ。これは新しいものだとわれるものがあるか。
それは我々の前にあった世々にすでにあったものである。
前の者のことは覚えられることがない。
また、来るべき後の者のことも
後に起こる者は、これを覚えることはない。