おはよう。土曜日だ。
 だからってどうってことないけど。「犬を飼ってる」と同じようなこと。そう?
 
 「文章を書いたら、それなりに書けるくせに、話しをしたらなにを言っているのかわからない」と、時々言われる。自分でも、だんだん何言ってるかわからなくなること、しばし。一旦、口から出た物を推敲することは出来ない。

 実家で暮らしていた高校生まで、よく父親に注意されていたのは、ものの呼び方である。
 「髪、梳くもん、とって」→「櫛と言え」
 「火、つけるもん、ある?」→「マッチか?ライターか?」
 「爪切るもん、そこらに置いてない?」→「爪切り!」
 
 ものの名前を覚えることが苦手だ。人の名前もなかなか覚えられないから、高校の同級生の名前も、その頃だって半分くらいしか覚えてなかった。意志というか関心の問題でもあろう。

 名前を覚えるのも大変なのに、最近は、やたらと省略形が多くて、聞いていてもなにがなんだかわからない。

 「ファミマに行ってくる」と、息子が言う。
  はあ? どこにいくつもりなんだ? 
 「ファミ」がつくので知ってる言葉は「ファミコン」だから「ゲームセンター」の仲間かと思ったりする。それが「ファミリーマート」だと思い至る頃には、もう帰ってきている。
 「ゲームセンター」を略した「ゲーセン」というのを耳にしたとき。これが省略形らしいとはわかるが、イメージしたのは、「よからぬことをする船」。船上でバクチでもするのか? まあ世の中には私の知らないことがこんなにもあるのだと勝手に驚いてしまう。

 「パチプロ」というのもあったな。どこかのプロダクションだと思った。
 たとえばひとり喫茶店で、コーヒーを飲んでいたりすると、いやでもあちらこちらから会話が届く。読んでた本なんかほったらかして、妄想の世界に入ったりする。
 夫は「アキバ系」というのを、広島の現市長「秋葉忠利」の支援者と信じ、東京でも秋葉人気は高いのか?と私に聞いたことがある。
 「さあ?どうなんだろうね」。私もわからなかった。今もどんなものかまでは知らないが、秋葉市長とはまるで無関係だくらいは承知。
 
  ブログの世界にも、この略語が多くて戸惑うことが多い。
 「ポチします」っていうのを見て、「犬あげます」に似てると思った。
 「ゲスブ」も、なぜだか「ホスト」や「ホステス」に結びついた。「ゲストクラブ」と頭の中で変換したらしい。

 省略形、もっと並べてみたいが、そもそもなにが省略かわからないのだから。

 「話しをしていると何を言っているのかわからない」
 そう言われる理由がひとつ理解できた。自分の中で、連想ゲームが始まるからだ。
 してみると、「髪を梳くもの」「火をつけるもの」「爪を切るもの」・・・こういう呼び方は、心を留め置くのには功を奏していたのかもしれない。