水無月。水月。旦月。季月。伏月。焦月。涼暮月。風待月。雷鳴月。季夏。長夏。炎陽。小暑。林鐘。鶉火。弥涼暮月。則旦。
 6月の異名。

 子供の頃の思い出は広島県北部独特の「花田植え」。
 牛を花で飾り(花牛)、音頭とりに続いて、笛や太鼓、手打ちの鉦をもったお囃子の面々、早乙女が田んぼに入り、歌いながらの田植えが始まる。母の実家で何度か見た。素朴とは言っても、人数も多いし、やたら準備も手がかかるから、季節の行事とはいえ大変だったことだろう。
 今でも、観光用として残る地域もあるようだが、今更観光で見るつもりにもならない。
 花田植えの記憶は、母の実家の納屋や土蔵や、そして亡くなった祖母や父や母、幼かった弟とその頃の私自身とセットだから。

 ところで6月といえば鮎の解禁。
 郷里は鮎漁が盛んで、昔は父が山のように鮎を釣ってきては好きなだけ塩焼きにして食べていた。余りは、内臓どころか一匹まるごとをぶつ切りにして「うるか」を作っていたものだ。今では上品な高級魚だが、季節のごく普通の食べ物だった。
 時代とともに今では我が田舎でも鮎は珍しくなってしまったが、それでもスーパーで「養殖」と貼られた鮎をはじめて見たときは、一瞬意味がつかめなかった。養殖物はなんとなく、意志が薄弱に見えてしまう。

 
 葉桜の中の無数の空さわぐ(篠原 梵)
 
 挿し木に水やりしよっと。