マヌエル・リバス 野谷文昭・熊倉靖子訳 角川書店/2001
本書は16の短編からなる。タイトルにも使われた「蝶の舌」は映画化されたときの改題であり、原題を「愛よ、僕にどうしろと?」。ラテン文学の旗手として注目されるリバスは、57年スペイン、ラ・コルーニャ生まれ。詩人、ジャーナリストとしても活躍するが、本書(「愛よ、僕にどうしろと?」)は、かのガルシア・マルケスに絶賛されたという経緯をもつ。
「蝶の舌」の舞台となるのはスペイン北西部のガリシア。内戦によって共和制が崩壊する中、小学校で自由の意味を教えてくれた老教師がアナーキストとしてひかれて行くのを見つめる少年の眼差し。そのやるせなさ。
まぶしいばかりの陽射しと、豊かなる緑の木々、このうえなく美しい蝶の姿。川岸や森を風と駆け抜ける喜び。
それらが一転するところにもまた少年が位置することの不条理が見事に描かれている。悲しくもまた美しい物語だ。まぶしいばかりの陽射しと、豊かなる緑の木々、このうえなく美しい蝶の姿。川岸や森を風と駆け抜ける喜び。
淡々と静かに語られる物語が好きな私にはことのほか胸に迫るものがあった。
本がよかったので、映画を見ようという気にならない。(映画もいいと聞くが)
蛇足ながら、同じ理由で「ティファニーで朝食を」(カポーティ)も「禁じられた遊び」(フランソワ・ボワイエ )も、あれほど有名なのに結局、映画は見ずじまい。
蛇足ながら、同じ理由で「ティファニーで朝食を」(カポーティ)も「禁じられた遊び」(フランソワ・ボワイエ )も、あれほど有名なのに結局、映画は見ずじまい。