高良 勉著/弥生書房(1997)

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 山之口貘は明治36年に生まれ昭和39年に他界。
 一生貧乏との縁が切れず、図らずも「貧乏詩人」などと呼ばれているが、妥協を許さない姿勢は徹底していた。

 「時勢のかおりに迎合せずに自分の詩表現にたいする自信と誠実さを手放さなかったのは、「ぼくの生きる先々には」「是非とも詩が要るのだ」という切実な自覚があったからだと言えます」。

 「貘君によって人は生きることを訂正される」とは、貘の詩集「思弁の苑」に寄せた金子光晴の言。貘さんのことばの美しさは推敲に推敲を重ねた賜物。彼の詩に触れると、くじけそうな気持ちが救われる思いすらする。

  「座布団」
  土の上には床がある
  床の上には畳がある
  畳の上にあるのが座布団でその上にあるのが楽という
  楽の上にはなんにもないのであろうか
  どうぞおしきなさいとすすめられて
  楽に座ったさびしさよ
  土の世界をはるかにみおろしているように
  住み馴れぬ世界がさびしいよ