重信房子/2001年/幻冬舎

 この名前に反応するのは、もうある年代以上だろう。72年の、テルアビブ事件(リッダ闘争)は高校生だった私には衝撃的だった。しかし、当時はパレスチナの状況について、今以上に無知で、学生運動の果ての狂気に思えた。しかもあの赤軍派のリンチ事件の渦中のことだったか、記憶はあいまいだが、たしか、前後していたような気がする。
 しかし、自身が学生運動を間接的にしか経験していない私には、常に情報は管理・統制する側からの一方通行でしかなかった。
 2000年に重信房子が大阪で逮捕されたという、あまりのあっけなさは、鮮明に覚えているが・・。

 本書のなかで房子の父親が「盟血団」の指導者井上日召と親交があったことをうかがわせている。
日召の思想は「一人一殺」といわれているけれど、「一殺多生」だと説き、まだ若い彼女に「物知りだけには、なるな」と諭している。

 最近テレビを付けるとやたら同じ顔ぶれで、どうでもいいようなクイズ番組ばかりが氾濫している。これって、軟弱な思想統制? 「平和」の裏側で悲惨な現実が進行している今の日本で、精神の貧困を象徴しているように思われるのは・・・あながち考えすぎでもないだろう。