来年の手帳を買いました。
あっという間に一年が終わりますね・・・。
少し早いですが、毎年この時期に今年を振り返りつつ、来年の
計画を立てております。
みなさんはどんな1週間を過ごされましたか?
今週印象に残った1冊を紹介します。
天野純希さんの『桃山ビート・トライブ』です。
豊臣秀吉が天下を治める安土桃山時代。四人の若者が出会い、一座を結成した。叩きつけるように激しく、驚く速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲の国一座の笛役者、小平太。信長の従者で
あった黒人の太鼓叩き、弥助。天性の舞姫、ちほ。彼らは型破りな芸で民衆を熱狂に巻き込み、やがて民衆への支配を強めていく秀吉に立ち向かうことに。
桃山時代のお話なのに、まずタイトルに「え?」ってなります。
「桃山ビート・トライブ」。なぜカタカナ?ビート?トライブってなんだ?ちなみにトライブとは共通の興味や目的を持つ集団とのこと。この四人の場合は音楽が共通の目的となるのでしょう。なるほど。
さて、桃山時代。信長が倒れ、秀吉の天下となります。芸術好きな秀吉の時代、お茶や芸などが盛んに行われていたようです。演奏や歌、踊りを披露する一座もあり、民衆にも人気があったようです。当時の公演スタイルは、笛や太鼓などが座って演奏し、その旋律に合わせて踊り子が歌ったり、踊ったりするものでした。
そこで、三味線弾きの藤次郎はこのスタイルを一新。立って演奏
しようとメンバーに提案。三味線と笛は動きも激しく、立って演奏。そしてこの一座、というかまさに「バンド」と呼ぶのがふさわしいと
思うのですが、要となるのが太鼓叩きの弥助。彼はなんとアフリカ
出身の黒人。彼が叩き出すリズムはこれまでの日本人が聞いたことのないような、それでいて魂がたぎるような激しいリズム。
うわあ、桃山時代にアフリカンなリズムですよ!?聴衆にとって、
これはカルチャーショックというか、世界がひっくり返るくらいの驚きでしょうね。そこに、叩きつけるかのように激しく早く弾きまくる
藤次郎の三味線と、これまた熱くメロディを載せる笛吹きの
小平太。そして中央には、リズムと旋律を身体に染み込ませ、思うがままに跳んだり跳ねたりまわったりする踊り子、ちほ。
こりゃあ、自分この時代に生きていたら、小屋の行列に並ぶよ!スタンディングでこぶし振り上げる!読んでいても聴衆たちの興奮ぶりがこちらまで伝わってくるのです。和楽器の演奏でまさにビートを感じる文章なのです。熱いぜ!
やり手劇場主の戦略的公演により、評判を高めていった藤次郎
たち。ついに秀吉の元で演奏せよとの命令くだされます。しかし
藤次郎はこれを拒否。上の者たちのやり方に合わせる演奏は
しない。あくまでも自分たちがやりたい演奏をする、とこれを突っぱねます。ロックだなあ。
メンバー脱退、小屋の取り壊し、パトロンやその妻子たちへの
迫害。身を切られるような思いをしながらも彼らは音楽で、芸で
戦っていくのです。桃山時代に、ビートだの、リズムだのといった
言葉がこんなにしっくりと馴染むとは!現代の要素を取り入れ
ながらも、しっかりと歴史物語として成立しているのは時代考証がしっかりしているからでしょう。
どっしりとした事実に少しずつ創作が混じっているから、本当に
あったことなのでは!?と非常にワクワクさせてくれます。
古くて新しくて骨太な、時代小説です。
〈今週 読了した本〉
『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』
『あきれるほど簡単でうまい つまみメシ』
『キラキラ共和国』
『何もかも憂鬱な夜に』
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』
『牛姫の嫁入り』
『菊のきせ綿 江戸菓子照月堂』
〈現在 読書中の本>
『ビジネスの限界はアートで超えろ!』
〈今週購入した本〉
『夜行』
『廃院のミカエル』
『NNNからの使者 猫は後悔しない』
『信長嫌い』
『死んだら飛べる』
『白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記』
『白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記』
読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!
https://shimirubon.jp/columns/1691046
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