ようやく夏休みも終わり、通常生活がスタート!
久々の弁当づくりにオタオタ・・・ 通常モードに戻るのに時間が
かかるのは実は自分が一番遅いのかもしれません。
みなさんはどんな1週間を過ごされましたか?
今週印象に残った1冊を紹介します。
泉ゆたかさんの『お江戸けもの医毛玉堂』です。
腕は確かだが、無愛想なけもの医者・凌雲と、しっかり者のお美津の夫婦が営むけもの専門の養生所「毛玉堂」には、今日も問題を抱えた動物たちがやってくる。ある日、お美津の友人お仙から、
八歳の少年善次の世話を頼まれて、面倒を見ることになるの
だが。人と動物の、理解しようと心を寄せるあたたかな絆を描く
物語。
夜になると、突然襲いかかるようになった猫。
耳の後ろにハゲができてしまったウサギ。
飼い主夫婦に赤ん坊が生まれてから粗相をするようになってしまった犬。
江戸の時代もペットを可愛がる飼い主の気持ちはみな同じ。大事にしながら、共に暮らして来たというのに、問題を起こすようになってしまった動物たち。病気なのか、ストレスなのか…。飼い主である人間に害を及ぼすようになっては、一緒に暮らすことも難しいのでは…。
悩める飼い主たちは、動物のお医者さんである凌雲に相談します。かつて人間の病や怪我を見ていて、名医と言われた凌雲。
動物たちの見立ても簡潔で鋭く、観点はあくまでも動物の立場に立ったもの。動物は、人間の言葉や常識を理解するわけでは
ない。だから人間の考えを押し付けるものではない、と主張します。
動物に対するしつけや、良かれと思っていた飼い主の行為は、
結局は飼い主の自己満足のためだったのでは。そんな解釈に、
現代人の我々にもハッとさせられるものがあります。
動物は動物として生まれ、本来であれば仲間と共に自然の中で生きていくところを、縁があって人間と暮らすことになったのです。ですから、動物が望むような環境にしてあげて、彼らが心地よく過ごせるようにしてあげるのが人間のすべきことなのではないか。
そんな凌雲の言葉は、この現代ペットと暮らす私たちにも、そのあり方について改めて考えさせられるのです。
そうした動物たちとのやりとりを中心に、お美津が抱える凌雲との距離感についての悩み、チャキチャキ美人だけど思いを寄せる
男性には弱いお仙、事情がありそうな八歳の男の子善次など、
それぞれの登場人物たちが主役脇役関係なしに、生き生きと、
くっきりとした輪郭を持って動き回ります。
彼ら登場人物たちの一人一人が懸命に、自分のやるべき事を
全うしようと真摯に生きる姿、そして人が人を、人が動物を、そしてまた動物が人を思い合うその姿に胸が熱くなります。動物の問題も、人の問題も、すべて関わる人間次第。相手を理解しているのだと過信することなく、一方的に思い込むことなく、誠意を持って付き合っていきたい。そんな風に感じる物語でした。
今月のレビュー結果
今月イラストレビューした本
25冊
ブログをはじめてからイラストレビューした本累計
908冊
読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!
https://shimirubon.jp/columns/1691046
本や記事に興味を持っていただけたらポチっとお願いします
人気ブログランキングへこちらも参加しています
テキスト長めのブックレビューやってます(^ε^)♪
ブックツリーに記事を書いています。
ぜひ見に来てくださ~いd(´∀`*)
ジャンルにとらわれない「乱読」のススメd(・c_・`。)
やわらかくつながる。温かな絆を描いたストーリー(ノД`。)
立場が変われば見方も変わる。世界が反転する物語ヽ(゚Д゚;)ノ!!
ジワジワと追い詰められる恐怖感!一気読み必至のサスペンスミステリー
生き残りをかけた戦いに挑むものたち。その戦いと生き様が胸を打つ本