いよいよ梅雨入り。
じめじめとした天気が続きますが、梅や新生姜、杏子など
旬のおいしいものが出回り、手仕事が楽しい季節でもあります。
今年も甘酸っぱい香りに満たされながら手を動かせることに
ありがたいなあと感じます。
皆さんにとってはどんな1か月でしたか?
今月、印象に残った一冊をご紹介します。
川添 愛さんの
『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』です。
働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」
「なんでも言うことを聞いてくれるロボットがいたら、僕らは働かなくてよくなるね」すばらしい思いつきにうっとりしたイタチたちは、そんなロボットを作ろうと計画します。参考のために「言葉ができる機械」をつくったほかの動物たちのところへでかけていきますが、どれもイタチたちが考えるものと違うようで…。
イタチたちは、まずは言葉が聞き取れる機械を作ったというモグラのところへ行きました。その機械は、こちらが話した言葉を画面に文字にして出してくれるというもの。画面に言葉が出るからなんなの?と今ひとつすごさが理解できないイタチたち。しかも、この機械は方言を聞き取ることができず、おかしな言葉の羅列になって
しまうのです…。
各章ごとに、動物たちが開発した「言葉ができる機械・ロボット」が登場し、それらの問題点を「とにかくなんでも言うことを聞いてくれるロボットを作りたい」というイタチ(工学的な知識はゼロ)たちが
図らずとも明らかにしていく、という流れ。
それぞれにコラムがついており、例えば第1章の「言葉が聞き取れる機械」は音声をどのようにデータ化し、機械へ取り込んでいくのかということが、工学的な知識がなくとも理解できるよう、平易な言葉で解説されています。
モグラやアリ、フクロウやオコジョなど、動物たちがそれぞれ考え抜き、改良を重ねて作った機械やロボットを、イタチらは「なんかわからんけど、それだけじゃ役に立たないよね」「言うことを聞いてくれないじゃん」と勝手なことを言い散らかし、果ては余計なデータを入れ込んでほかの動物たちが一生懸命に作った大事な機械を
壊してしまいます。
動物裁判にかけられたイタチらは、皆の問題点が解決するような、文と文との論理的な関係を問う問題をたくさん用意し、それを解ける機械を作り、ほかの動物たちに提供するということでひとまず決着がつきます。
文と文と論理的な関係を問う問題とは、つまり
前提 すべてのフクロウは、夜じゅう目覚めている。
結論 夜に寝ているフクロウが何羽かいる。
この前提に基づく結論は○か、×か、?か。
こうした問題を1000個作り、なおかつその問題を解ける機械を
期限までに作れ、ということです。またまた難題を突きつけられたイタチらはどうするのでしょうか。
近い将来、いろんな分野においてAIが人間能力を凌ぐのではないかと話題になっています。言葉の理解についても然り。しかし、
言葉がわかるために機械が必要とするデータは膨大なもので、
なおかつ多角的です。
おまけに、ひとつの絵を見て、育った環境や年齢によって解釈が違ったりしますし、予測を含めた判断や、世間の常識の理解度
など、かなり複雑な要素もって人間は言葉を駆使しているのだと
いうことがわかります。計算が得意な機械ですが、イメージや判断などはまだまだ検討の余地がありそうです。
私たちや人工知能が言葉を理解する仕組みを楽しく学べる本書は、学生から社会人までおすすめの一冊です。
今月のレビュー結果
今月イラストレビューした本
25冊
ブログをはじめてからイラストレビューした本累計
857冊
読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!
https://shimirubon.jp/columns/1691046
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