今週はPTAの集まりや保護者会など、新しい出会いが多く
ありました。役員をやることになったのですが、いろいろと
学ぶことが多いな、今までいろんな方がこうしたことをやって
くださっていたのだなあと感じています。自分も子供たちを
見る別の場を与えてもらったと考えて、活動を愉しみたいと
思います。
今週印象に残った1冊を紹介します。
宮本 紀子さんの『跡とり娘 小間もの丸藤看板姉妹』です。
江戸は日本橋伊勢崎町の小間物商「丸藤」は、紅やおしろい、
櫛やかんざしなどを売る大店。「丸藤」には、幼い頃病弱であったために品川で暮らしていた姉の里久と、美しくて評判の妹、桃の
二人の娘がいた。里久は、これまで暮らしていた漁師町と、江戸の大店での暮らしぶりの違いに戸惑うが、その明るく前向きな発言と行動で周囲の人々を変えていく。
小間物商とは、今で言うデパートの化粧品売り場のような雰囲気でしょうか。店頭で化粧品や髪飾り、櫛などを販売しています。
お客様も「綺麗になりたい」という気持ちで店を訪れる女性たち
です。丸藤で取り扱っているおしろいは、上質なもので価格も高いのだとか。
そんなお店に戻ってきたのは、漁師町で育った里久。日に焼けて肌は真っ黒、女中の仕事である味噌汁づくりをする、正座は長時間出来ない、お茶やお花の稽古全般が苦手…。田舎育ちの元気いっぱい娘、といった体の里久。母から身のこなしから礼儀作法まで逐一たしなめられ、いかにも大店の娘然とした妹からは、里久の荒っぽさに呆れられる始末。
そんな里久に、父親の藤兵衛が「店の手伝いをしてみては」と
提案します。じっとしているのは苦手で、礼儀作法も出来ないけれど、お店を手伝うことでこの家の娘としてやっていけるかもしれない。里久は、張り切って店での仕事を覚えます。しかし、店では
おしろいの売り上げが下がり、厳しい状況になっていたのでした。化粧をしない里久が、お店にお客様を呼ぶために思いついた事とは。
化粧はできないし、興味もない。お店のお嬢様には見えないガサツさ。でも元気いっぱいで、まっすぐで、周囲の人を笑顔にして
しまう。そんな明るい魅力を持った娘、里久。長く暮らして馴染んだ場所と生活から、全く違った環境へとやってきて、戸惑いも多かったと思います。
性に合わないことをやらされ、できなくて凹むことがあっても、諦めることはありません。結局お稽古ごとはうまくいきませんが(笑)、店の売り上げにつながるアイデアを、里久ならではの目線で次々と打ち出し、売り上げにつなげていきます。
化粧に興味がなく、綺麗になることに執着を持たない里久なのですが、そんな彼女だからこそ思いつく発想は、斬新であり、しかもお客の心をしっかり掴むものでした。
馴染まない場所でいじけて立ち止まるのではなく、笑顔を絶やさず、自分なりのペースで、自分自身の居場所を作っていく。そう決意した里久が起こしていった行動は、彼女を、いつのまにか「丸藤」になくてはならない存在にまで変化させていったのです。
弱さを見せない里久がチラリと見せる郷愁の思い、それをバネにして頑張る姿。女性がおしろいでもとの肌を隠すように、里久も
弱い自分の心を覆い隠して笑顔を見せていたのかもしれません。そんな里久の強さと弱さ、そして商売の発想力、人の気持ちに
寄り添う能力に感嘆し、感動する物語です。
〈今週 読了した本〉
『二度寝とは、遠くにありて』
『騎士団長殺し 第2部: 遷ろうメタファー編(上)』
『騎士団長殺し 第2部: 遷ろうメタファー編(下)』
『強運の持ち主』
『死んでいない者』
〈現在 読書中の本>
『繭』
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
〈今週購入した本〉
『蜜蜂と遠雷(上) 』
『蜜蜂と遠雷(下)』
『移動力』
読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!
https://shimirubon.jp/columns/1691046
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