台風で、予定していた花火大会が中止。
思いがけず家でゆっくりと過ごすことができました。
夏休みでなかなか時間が取れない中、貴重な読書タイムと
なりました。
みなさんはどんな1週間を過ごされましたか?
今週、印象に残った一冊をご紹介します。
遠藤 彩見さんの
『キッチン・ブルー』です。
飲み会も女子会もNG、とにかく人といっしょに食事をとることが
できない「会食不全症候群」の灯。仕事で知り合った男性、蝦名
から食事に誘われるが…。
「食」にまつわる問題を抱えた6人が、壁にぶつかりながらも立ち向かっていく。「食」がもたらす悩みと幸せを描く短編集。
古谷灯、35歳、独身。人といっしょにいると、食事ができません。
飲み物だけは大丈夫ですが、固形物を無理に食べようとすると
喉が詰まった感じになり、最悪吐いてしまうことも。映画の買い
付けをするという仕事をあきらめ、映像翻訳の勉強をし、家で
仕事が出来るようになったので、好きな時に食事ができるように
なりました。
しかし、自分以外の人間と食事ができないため、結婚どころか
恋人を作ることもあきらめ気味だったところに登場したのが蝦名敏。仕事で知り合った彼を見てなぜかパンダを連想する灯。優しそうな雰囲気を、彼に感じたのでしょうか。
互いに好印象を持ち、二人で食事に行ったりします。が、当然
灯は食べることができません。でもかき氷を食べることができたのです。灯にとっては進歩です。もしかしてこの人となら、食べられない状態を克服できるかもしれない。そう思った灯でしたが…。
人前で食事ができない、という状況が衝撃です。会社に勤めて
いたとしたら人が来ない場所なんて、トイレの個室くらいしかないのではないでしょうか。
レストランにも客がいますから、外食ができない。
飲み会や女子会に誘われたとしても、お酒しか飲めない。
問題はそれでもお腹が空く、ということです。付き合いで飲み会に参加しても、食べられないから飲むだけ。でもお腹が空きます。
これはつらい。
外出にも恐怖が伴います。出かけていて、お腹が空いたなあと
思っても、食べられる場所が見当たらないので、ヘタすると一日
近く何も食べられない、なんて状況になることも。
灯のそんなつらい状況に、周囲の人も最初は理解を示すのですが、「がんばってみようよ。食べられるよ、きっと。」と善意の押し付けをしてきたりします。これはありそうな話ですね。その人の苦労は本人しかわからないのでむやみに頑張らせてはいけませんね。
灯が好感を持った蝦名は、灯が食べなくてもあまり気にしない
様子の人物。その理由はラストに明らかになるのですが。
客観的に見ても、「食」に関するコンプレックスを抱えながら、 自分の生きる道を確立している二人はお似合いです。自分のそうした悩みがあるからこそ、相手の気持ちがより理解できて、寄り添えるのではないかなと思います。
他にも、新婚なのにまずい料理しか作れなくてコンプレックスを
抱えている新妻の話、騒音が激しい住民のせいで味覚障害に
なってしまった女性の話、泥酔してしまい、ペナルティとして
キッチン担当となったキャバ嬢の話などいずれも食に問題を
抱えた男女が、やはり食の力で解決していく6編の話を掲載。
食が不完全な状態というのは、人をとても不安にさせます。
食べるということは生きていく上で必須の行為であり、誰かと何かを共に食べるということは大きな喜びでもあります。
食事が美味しくないなあと思う時は、幸せだなという感覚になりづらいですが、幸せだなあと思う時は食事も美味しく感じたりします。
つまり、幸せであることが、おいしい食事になるための最高のスパイスなのかもしれません。
先週立てたこの1週間の目標は
●1日1記事を更新する
●イラストに色をつける
でした。無事に達成することができました!
次の一週間も、同じように更新することを自分の目標にします。
〈今週 読了した本〉
『あずかりやさん 桐島君の青春』
『ため息に溺れる』
『あの日にドライブ』
『ミーナの行進』
『フリー!』
〈現在 読書中の本>
『スイッチ!』
〈今週購入した本〉
なし
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