新しい年が明けてから、1か月がたちました。

気持ちを改め、イラストやレビューを効率的に作業することを

頭に置きながら活動した結果、作業スピードがあがり、読書時間が若干増えたといううれしい誤算がありました。

 

皆さんにとってはどんな1か月でしたか?


今月、印象に残った一冊をご紹介します。

畠中 恵さんの『うずら大名』です。

 

うずら大名 (集英社文庫)

 

正体不明の『大名』と、泣き虫の村名主が江戸を
揺るがす難事件に挑む。

 

白い鶉(うずら)を連れた美丈夫の男、有月は、なんと隠居した
大名だった。引退するにはまだまだ若いようだが…。
一方、村名主となった吉之助は、子供の頃から泣き虫。

怖いことやつらいことがあると、いい大人になった今でもすぐに

涙が滲んでしまう。

 

2人はかつて同じ道場で学んだ身。共に自身の未来はどうなるのかと不安におののく子供たちであった。大人になった2人が、

うずらの佐久夜を引き連れ、江戸を騒がす事件の解決に挑む。

しゃばけシリーズで名を馳せた著者が手がけるのは、変わりゆく江戸を描いた、ほろ苦い人情物語。しゃばけシリーズと違って、全体的に緊張感が漂います。

 

舞台となるのは江戸時代。大名は財政不足にあえぎ、一方江戸の人口が増えたことで多くの野菜を作るようになった農家は、

大名に金を貸すようになる程、豊かになります。立場と暮らしぶりが必ずしも一致しない世の中になってきていました。

 

そこへ流れてきたのが、侍の身分を金で買えるらしい、という噂。
身分を売買するなど、有り得ないという認識は多くの人間が

持ってはいるものの、逼迫した侍が多くいることも事実ですし、

農民の身分から侍へと変わることができるのなら…と思う、

お金を持った農民がいるのも事実。

 

それと、江戸時代では生まれた瞬間に運命が決まっていたことが大きい。長男に生まれれば家を継ぐことができますし、次男坊も

長男に何かあった時のために大事にされます。しかし、三男坊以降は己でどう生きていくかを決めなくてはならず、しかも安泰な

道はありません。それは大名の子供であっても例外ではない

のです。

 

事件は、稼ぎもできず、嫁をもらうこともできず一生を送るしか
できない、未来に何ひとつ光を見出すことのできない者たちが、
偽りでも、わずかでも光を見たかったゆえに引き起こしたもの。


今よりも簡単に人が死んだ時代、短い一生で自分が何をするのか。身分に縛られて、寂しく味気ない人生を送るのか。それとも
華やかに見える場所を求めていくのか。

 

美丈夫だけどいじめっ子気質の有月と、情けないけど優しく

責任感の強い吉之助。彼らも実は、事件を起こしたものと遠い

立場にいるわけではありません。しかし、彼らは環境が変わったところで、生き方は変わらないように思えるのです。

 

それは今の自分に覚悟を決めて生きているから。置かれた

場所で自分の役割を全うしようという決意があるから。

 

斬り合い、殺人などピリっとした雰囲気の中、佐久夜の存在が
可愛らしく、そして事件の解決にも活躍していて、いいスパイスに
なっています。なんと巾着鶉といって、自ら巾着袋の中に入ります。飼い主の呼ぶ声で袋に入ったり出たりするのです!

飼い主はうずら入りの巾着袋を持ち歩いてそうです。お出かけにも連れていくなんて、いいなあ。そんな飼い方するんですねえ。

 

変わっていく世の中にしっかりと立つ男たちを描いた物語。
佐久夜の鳴き声『御吉兆ー!』が、彼らに良いことを運んで

来ますように。

 

今月のレビュー結果

今月イラストレビューした本
25冊

ブログをはじめてからイラストレビューした本累計
431冊

 

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