例えば 温泉旅館やホテル。
気兼ねなく泊まれる所があれば
旅行にだって行ける勇気が増えるのに。

我が家が家族で旅行を始めたのは
息子が小学部4年生の夏休みに1泊2日で
北海道洞爺湖温泉に行った。

不安定になることもなく
とっても楽しかったので
それから毎年夏休みは7時間かけて洞爺湖へ。

洞爺湖を選んだ理由は
ロングラン花火大会があるから。
春から秋まで毎日見れる花火。

花火大会は夏になるとあちこちで
開催されるけど 大勢の人が集まる所へ
息子と行くのは至難の技。
そして息子も人混みとザワザワが苦手。
不安定になる所にわざわざ行かなくても
洞爺湖に行けば 大雨さえ降らなければ
ホテルの部屋から見ることが出来る。

外で見たければ湖がすぐそばなので間近で
見れる。

色んな魅力がある洞爺湖が気に入り
毎年夏の楽しみになっていた。

小学部の頃は お風呂も女湯に
入らせてもらっていたけど(5~6年生だと
体も大きいので夜遅く人が少ない時間に
入るようにしていた)

さすがに中学部になると女湯はマズイので
家族風呂があるホテルを探し
洞爺湖に1件だけあったので
そのホテルを使うようになった。

ホテルにも慣れた 高等学部1年の夏休みに
いつものように 泊まりに行き
花火をみたあと 家族風呂へ。

いつものように息子を先に洗い
湯船に入っている間に
慌ただしく私が洗っていると
息子の機嫌が悪くなってきた。

今思えば 湯船に入って温まりすぎたのか
早く上がりたかったのかもしれない。

でも 私も急いで洗っていて
息子がキィーキィー言ってるのを聞いて
「せっかくの温泉なのに少し位
ゆっくりさせてよ( `д´)」とイラッとして
言ってしまった。

それが原因でとんでもない事に‥‥

私が洗い終わってザブッと湯に入り
すぐ息子と脱衣室へ行ったら
今まで 見たこともない形相の息子。
「ギャァーーーー!!」と大声で叫び
壁を叩き始めた。

止めようとしたら
目の色が変わった息子が
私に襲いかかってくる。

顔 腕 胸 腹‥‥手で掴めるところは
大きな手でつねりあげられ
肩 腕 手など口が届くところは
全て噛られた。

暴れている間中 奇声と大声で叫び
壁を壊す程叩きまくったため
家族風呂の近くにある男湯女湯の
一般客が何事かと
家族風呂のドアの前で大勢集まっていた。

裸で格闘していたが 全くおさまらず
一緒にいた娘にホテルの人を呼んでもらった。

何とか服を着て
まだ暴れている息子を引っ張りながら
外へ出て車に乗り洞爺湖温泉の町外れに
行った。

運転中の私に後ろから叩いてくる息子。
車を止めてから なおも後部座席から
身を乗り出して襲いかかってくる。

脱衣室から車まで 一体どれくらいの
時間こうやっているんだろう‥‥
と思う位長く 息子の攻撃をかわす腕の力も
なくなってきた。
それでも 身を乗り出してくるので
両足で息子の胸を抑えなんとかかわした。

息子が恐ろしいと初めて思った。
殺されるかもしれない‥‥
でも 殺されてはいけない 
私が死んだら息子は犯罪者になってしまう。

頭ではそんなことを考えていた。

息子も息荒く だいぶ疲れてきて
徐々に攻撃が弱まり
そのあと 確か息子が大泣きしたような
気がする。

そして 私も泣いた。
楽しみにしていた旅行が‥‥
専門学校に行った娘が久しぶりに家族に会い
楽しみにしていた旅行でもあるのに‥‥

色んな思いで大声で泣いた。

この辺は私も記憶がボーッとしている。

確か 時計は日付が変わっていたはず。
携帯もホテルにあるため
ホテルにいる娘と連絡もとれず
息子が落ち着いたのを見計らって
ホテルに行き 息子を車に残し
急いで 部屋で荷物をまとめた。

フロントで謝罪し会計を済ませ
壊した壁などを弁償する旨を話し
連絡先を渡してホテルを出た。

次の日(日付が変わっているので当日)
泊まる予定の登別温泉もキャンセルし
家に帰ることにした。

帰りの道中 体中アザだらけで痛かったが
心はもっと痛かった。

何が悪かったんだろう‥‥
考えれば色々思い当たるけど
起こったものは仕方がない。

その後 午前9時半頃自宅に着いた。

このことをきっかけに
息子が酷く暴れたり私に暴力を振るうように
なった。
そして 怖くて旅行に行けなくなった。

だから 発達障がい者専用のホテルがあれば
また 旅行にチャレンジする勇気が
出るかもしれない。

そして 専用の遊園地もいいなぁ。
待ち時間がない遊園地。
誰か作ってくれないかなぁ(  ̄ー ̄)ノ笑笑

*今回の2泊分のホテル代大人3人分
約10万円(お盆期間中のため いつもより高い)
が水の泡となった(/ー ̄;)