「俺、櫻井さんと付き合ってるから」
そう言った俺の隣で、盛大に口の中のビールを吹き出した櫻井さん
俺はそんな櫻井さんの口をおしぼりで拭いてあげる
「え?!え?!お前ら、そういう関係だったの?」
「知らなかった…」
一瞬の静けさから、すぐに騒然となった周りの同僚や女の子たち
今日は、俺と櫻井さんを『エサ』のようにされた飲み会で
俺も櫻井さんも目の前の女の子たちに興味もない
出来ればさっさとこの場を去りたいだけ
会社1,2を争うイケメン俺ら(本人たちは全くそんなことを思ってない)
こういう飲み会に駆り出されることが多い
だけど
『オレ、ゲイだから』
先日、いい加減疲れたのか、本心なのか
櫻井さんは、突然のカミングアウトをした
当然、そのことは会社中に知れ渡り
こういう飲み会に誘われることは無くなっていったが
うちの会社以外の子は、そんなことを知るはずもなく
社外ならいいだろう
『ゲイ』なら女の子に持っていかれないだろう
と思った懲りないやつらが、久々に櫻井さんを呼び出した
当然来ないだろうと思っていたけど
「タダで飲ませてくれるってさ」
なんて、少し悪そうに笑った櫻井さんがとても可愛らしく感じる
何故かといえば
俺は、櫻井さんに『恋』してるからだ