never 5 | 青いたんぽぽ

青いたんぽぽ

ぽそぽそと書いてます…
腐なので、ご注意ください(笑)

常に雑食←

 

 

 

素直にすぐに出てくれるなんて思っていない

何時間経ってもいい

翔くんに会えるなら、いくらでも待つ

 

そんな気持ちで、翔くんの部屋のチャイムを押す

 

一回、二回、三回…

 

部屋のドアが開くことは無い

 

バカな俺

あの時に、すぐにでも追いかけていればこんなことにならなかったのに

今、いくら後悔しても遅い

 

 

「俺、ずっと待つからな」

 

聴こえるわけないのに、そんなことを呟きながら、またチャイムを押す

 

 

一回、二回、三……

 

 

「…近所迷惑になるから」

 

玄関の扉が少し開いて、翔くんの声

 

「顔、見せてよ」

「帰って」

「翔くんの顔を見るまで帰らない」

「かえ…」

 

「帰るわけねぇだろ」

 

少し開いてる扉に手を掛け、ぐいっと開けば

 

真っ赤な瞳の翔くん

 

…やっちゃまった

 

そう思った瞬間、俺は逃げ出しそうな翔くんを抱きしめた

 

 

「ごめん」

 

腕の中の翔くんは固まったまま

ホントは顔を見てちゃんと言おうと思ってたんだけど、翔くんはこっちを見てくれない

 

「ごめん。ホントにごめん」

 

「……智くんが謝ることなんてないよ」

 

翔くんは、動かないままぽそりと言う

 

 

「悪いのは、オレだから」

 

 

「え?」

 

翔くんは俺の腕からするりと抜け出すと、下手くそな笑顔で俺の方を見た

 

「オレと居れば、智くんは幸せになれないよ」

「…何、言っての?」

 

「オレと居ても、『未来』は無い。知ってる?智くんが、親子連れを見る時の眼差し。あんなに柔らかな眼差しをオレといても出来ないよ。ホントはずっと思ってた。でも、そんな気持ちを抑えて…ずっと抑えてて…」

 

翔くんは俺の前で、そう言いながら大きな瞳から

俺の大好きな瞳から涙を零れないように必死に我慢してる

 

「抑えて、何だよ」

「え?」

 

「抑えて、どうした?だったら、言えよ!俺と一緒にいることを初めからしなきゃ良かっただろ?なんだよ…一人でそんなこと考えるな。俺の幸せや未来は、翔くんとしか出来ないんだよっ!俺は翔くんと幸せになりたいんだよ!翔くんと『未来』を作るんだよっ!

 

翔くんは俺と居たら、幸せになれないの?俺とは『未来』を作りたくない?

 

俺は、翔くんが好きなんだよ。すげぇ好きなんだよ。別れるなんて、ヤダよ…」

 

俺はそう言いながら、頭を押さえてその場にしゃがみ込んだ