今回は、しょーさんです♪
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朝方まで続いた撮影が終わり、部屋に入りエアコンのスイッチを入れる。
いくら体力に自信があるとはいえ、さすがにへとへとになり、持っていた荷物を投げ出してソファに倒れこむ。
手元にあるクッションを抱え、誰も聞いているはずもないのに、クッションに口を当て
「疲れた」
と呟く。
自分だけが忙しいわけでもないし、疲れているわけでもない。
けれど、声にして人にも自分にも聞こえるのが好きではない。
自分で決めた道なのだから、真っ直ぐ進むだけなのだ。
もう一度、ぎゅっとクッションを抱きしめ、それから少し離して、テーブルの上に置いてあるTVのリモコンを手にしてスイッチを入れる。
朝の情報番組が流れ、爽やかな顔のアナウンサーが原稿を流れるように読んでいる。
夕方になれば、オレも自分が出演している番組のために、局に行き、打ち合わせに入る。
だから数時間休んだあとに、その原稿や資料に目を通し、自分の担当している枠のチェック。
いかにみんなにきちんと伝わるかを考えながら進めていく。
何年経っても、難しい。
そんなことを考えていると、だんだん目が冴えてきて眠ることを諦め、身体を起こした。
キッチンに立ち、コーヒーメーカーに挽いてある粉を入れ、スイッチを入れる。
少し待てば、部屋に広がる香りでさらに身体も冴えてきた。
淹れ終わるまでに、着ていたものをスウエットに着替えて、床に直に座りストレッチを始める。
聴きなれた声がTVから聞こえ、そっちを見れば最近黒く髪を染めた彼がいた。
どきりしながらも、画面にくぎ付けになる。
いつもの太陽のような笑顔ではなくて、主演であるドラマの役になりきり、凛とした男の顔している。
めちゃめちゃ、カッコいいじゃん
普段はどちらかと言えば可愛いと言われる方の彼だが、役のために髪を黒く染めたせいのか、イケメン度がさらにアップした。
すげーかっこいいじゃん
分かっているんだ、うちらの職業は。
大勢の人たちに、自分たちを知ってもらい応援してもらう。
アイドル
みんなが彼を知っている。
オレの方が彼を知っている。彼のスケジュールも、耳に入ってくる。
そう思っているのに、知らない彼を耳にするたび見るたび。
自分の知らない彼を知っているみんなに、嫉妬してしまう自分がいる。
数分間、彼のドラマの告知が終わり、別の話題に変わる。
それと同時にTVを消して、淹れたてのコーヒーをカップに注いだ。
一口飲む。
「ああ、もぉ…」
カップを両手で持ったまま、その場にしゃがみ込む。
情けないくらい、世界中の彼のファンに嫉妬する。
みんなを魅了する
彼、相葉雅紀
憎いとすら思うほどに愛しい
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な行で片思い
2、 憎いとすら思うほどに愛しい
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